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IDマガジン第10号 (2005/4/22発行)


[010-05]「マイケル・アレン氏に指導を受ける」 ~e-ラーニングインストラクショナルデザイン認定プログラムへの参加~

2005年1月31日-2月1日に、アメリカ・ラスベガスで行われたASTD Techknowledge 2005カンファレンス内、e-ラーニングインストラクショナルデザイン認定プログラムに参加しました。これはASTD主催の認定プログラムで、他にHPI(Human Performance Improvement)認定プログラム、トレーニング認定プログラム、測定と評価認定プログラムが用意されています。本年はさらに、ラーニングデザイン認定プログラムというのが7月から開始するようです。

当プログラムに参加してから、約二ヶ月が過ぎてしまいましたが、それでもIDマガジン読者の皆様には紹介しなくては!と思い、書かせて頂くことにしました。

e-ラーニングインストラクショナルデザイン認定プログラムは、教育部門の経験がなく、新しくe-ラーニングに関わることになった人、最新のテクニックを修得したいと思っている人、インストラクショナルデザイナー、教育マネージャー、カリキュラム作成者、インストラクターから教材開発側に移る人など幅広い人を対象に、実際に活用されているコンテンツを使ってeラーニングの魅力を実感し、魅力的な教材作成には、どのようなことを意識しながら作成するべきかを学ぶ2日間のワークショップです。初代Authorwareの設計者、かつRoger.C.Shank のもとでGBS(Goal-BasedScenario)理論開発に関わってきたマイケル・アレンがコース・テキストを開発し、自分でインストラクタも担当するというコースで、それに参加できるということだけで、喜んで現地に向かいました。

ワークショップは、説明→質問→ディスカッションを繰り返し行い、最後に一つだけグループディスカッションを行うための問題が出されました。アレン氏が説明中でも、質問がバンバン飛び交い、周囲の参加者とは、自己紹介、質問、お互いの仕事や興味に関して話すこともでき、なんとか切り抜けてきました。

彼のメッセージは、「つまらないeラーニングは廃止しよう!」であり、それを実現するための要素は、
・ 学習者が高く動機付けがされていること
・ 学習行動が広がっていく課題に集中させること
・ 意義があり、記憶に残る経験を作り出すこと
という事でした。この3要素を取り込むとどのようによい作品ができるのかは、Allen Interactions社が作成したコンテンツを受講者に触らせ、それに関する詳細な説明が繰り返し行われることで伝えるようになっていました。
このコンテンツの見本はCD-ROMでお持ち帰りができるというサービスの良いものでしたが、その中のいくつかはAllen Interactions社のウェブサイトから見ることができます。見てもらうのが一番ですので、是非http://www.alleni.com/へアクセスしてDemoのページを訪れてみてください。

彼らが提供する教材のほとんどは、ストーリー仕立てで、学習者が実務と同じ役を演じながら一つずつ問題を解決していく形になっています。常に選択をせまられ、不適切な回答をすると、ゲームに出てくるようなエネルギーバーが下がることで失敗したことを知らせたり、他の人から指導を受けたりとすぐにフォローが返ってくるように作られています。学習が終わると、全体に対する評価も「フィードバック」という形で表示されます。

すべての学習は、チューターをつけることもなく、説明書などを読まなくても自学自習ができるようになっています。その完成度の高さには、圧巻です。今回受講して、シナリオ型のeラーニングが成功する秘訣は、内容をかなり絞って具体的に学習者に何ができるようにするか落とすことにあるのではと感じました。アレンの話の中には、ADDIEプロセスモデルに関してもう古いものだと否定的な言葉も出てきましたが、コンテンツを作る際に、SMEとデザイナーがプロトタイプを見せながら入念に打ち合わせをし、その中でニーズ分析と対象とする学習内容がしっかり落とされた後に開発を行うところは、しっかりとIDプロセスモデルに沿って開発していることが伝わってきたからです。

参加者の大半はアメリカ人でしたが、香港と韓国から来た参加者にも会いました。トレーニングマネージャー、LMSにのせるコンテンツ開発を企業で初めて開発することになった技術者、人事部所属の教育の担当者、カスタマーサービス部のとりまとめでかつeラーニング導入の担当者、インストラクターから教材設計を担当する予定の人など、担当する業務もかなりバラエティに富んでいましたが、それぞれが楽しんでいたようです。アメリカはIDやeラーニングに関する技術がすすんでいるといっても、現場の皆さんは日本と同じような悩み(いかに質の高い教材をつくるか、コストを抑えられるかなど)を抱えているんだなぁと感じました。みんなでランチを食べながら、担当者の意見を聞ける場というのはとてもよかったです。

この2日間のワークショップに参加するだけで、認定証をもらってしまってよいのか?と思いますが、テスト、プレゼンテーション、レポートなどで評価されることになると・・・英語に自信がないので正直ホットしています。また、このカンファレンスに関しては簡単にまとめてありますのでよろしければhttp://www2.et.soft.iwate-pu.ac.jp/~hrst/report/tk2005.htm を見てください。

□参考URL:
*e-ラーニングインストラクショナルデザイン認定プログラム:
http://www.astd.org/ASTD/Templates/OneBox.aspx?NRMODE=Published&NRORIGINALURL=%2fastd%2fEducation%2felearningcert%2ehtm&NRNODEGUID=%7b855DB937-4E01-41D3-AF48-0EE46266B27E%7d&NRCACHEHINT=NoModifyGuest#agenda 

*Allen Interactions社:
http://www.alleni.com/

*ASTD Techknowledge 2005カンファレンス
http://www.astd.org/astd/conferences/tk05/tk05_home
岩手県立大学 根本 淳子 


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