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IDマガジン第15号 (2008/4/15発行)


[015-05] 【報告その2】ISPIカンファレンス 参加レポート(4月5日~)

4月のこの忙しい時に・・・と周囲から思われつつ、ISPI(the International Society
for Performance Improvement)の年次カンファレンスに参加しました。この学会は、
組織の職場環境における生産性や成果を向上させるための実践報告と研究を続けている
学会です。北米を中心に世界中からパフォーマンス向上に関する研究者や実践家がメンバー
です。野は、人材開発、プロセス改善、パフォーマンスに関する分析・評価、組織パフォー
マンスなどが中心で、メンバーはコンサルタントなどの実践家や研究者がほとんどです。

ISPIの顕著な活動としては、認定パフォーマンステクノロジスト
(CPT: Certified Performance Technologist)があります。これは、倫理規定
(Standards of Performance Technology and Code of Ethics)に基づいてプロジェクト
を遂行した実績を審査・認定するものです。つまり、テストではなく、
その人の成果をもとに、パフォーマンス向上に関する貢献をどれだけ行ってきたか
を見て認定を与えるものです。

毎年4月上旬に年次カンファレンスを開催していますが、他にワークショップや
秋季カンファレンスなどが定期的あります。、北米からの参加者がほとんどですが、
アジアからは、毎年韓国の大手企業がグループで参加しています。
今回日本人にはどなたにもお会いできませんでしたが、きっと参加されていると思います。

ASTDのカンファレンスに参加されている方は、それに近いイメージを持っていただいて
よいかと思いますが、それよりもさらに、実践家たちの情報交換の場になっているイメ
ージがあります。一方的に話しを聞くだけではなく、ディスカッションの場が多く与えら
れている気がします。また、研究発表のセクションなどもあり、新しい理論や調査報告な
どの発表も見れます。
(ASTDには久しく参加していないので、気のせいかもしれません・・・)

カンファレンス初日、恒例で行われるイベントにApple Barrelと呼ばれるものがあります。
40のラウンドテーブルに一人ずつプレゼンターがいて、みな自分が好きなテーブルへ
行って話しを聞き、ディスカッションするもの。1ラウンド=20分間のが計4回あるので、
自分が興味があるテーマを選んで座ります。1000人以上の人がひとつのホールに集まるの
で凄い熱気です。ここで発表する人たちのほとんどは、カンファレンス期間中40分から
90分のセッションを自分で持っているので、ここではどの人の発表を聞きにいこうか、
下調べ的な意味合いがあります。最近のトレンドや、自分が知らないトピックをちょっと
のぞいて面白かったら長時間のセッションに出るといった感じです。コンサルタントたち
が自分のセッションに来てもらえるようにアピールする場でもあります。

私は、“Writing Training Materials That Work”などの本の執筆、コンサルティングで著名
なFoshay氏のところへ参加しました。本でしかお会いしたことないので、こうやって
直接会えるのが楽しいですね。
テーマは、エクスパートが持っている問題解決能力を他の従業員につけさせたいとき
どうすればよいか?非構造的な問題(ill-structured problem)を解決できるようになるに
は、3つの基礎知識:どうやったら上手くいくかが説明できる力、問題解決をするための
戦略を立てられる力、そしてその文脈をよく理解していることが必要で、さらに学習科学
の研究から分かったことを参考に分析する方法がある・・・という内容でした。

また、eラーニング関係の書籍、コンサルテーションで著名なローゼンバーグのセッショ
ンにも参加(90分)。「eラーニングを超えて」というテーマで、単なる情報散布をする
ようなeラーニングはもういらない。より組織、組織内の人材のパフォーマンスを向上
するには、ワークプレースにあった学習環境を構築するべきだというもの。情報を共用し、
コミュニティを作り知識をマネージメントできる人材を作るためのアイディアが紹介さ
れました。
Web2.0の技術を活用して可能となる学習デザインの例を挙げて、あふれる情報の中から
必要とする情報を抽出し活用できる能力をもった人材を作る支援システムがこれから
は必要だと語っていました。

他にも、SOPEモデルという評価モデルの提案、パフォーマンスを早く向上させるための
手法(コンサルティング事例)など。コミュニティ・オブ・プラクティス、ワークプレ
ースラーニング、EPSSのような職務遂行支援システムなどのキーワードをよく耳にした
気がしますが、自分の興味が偏っているかもしれません。
どうやってよい研修を作るのかだけに閉じず、企業のパフォーマンスを向上するための
取り組みがディスカッションされてるいのが魅力です。このような場を是非日本でも広
げていきたいと思ってます。ISPI日本支部と一緒に盛り上げていきたいですね。
次回参加できる機会があれば、是非(日本)企業の方々とディスカッションしながら
参加したいです。

参考URI:http://www.ispi.org/ (ISPIホームページ)
                  http://www.ispi-japan.com/ispi/index.html(ISPI日本支部)

(根本 淳子)


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