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IDマガジン第21号 (2009/8/18発行)


[021-03] 【報告】第17回 eラーニング連続セミナー「eラーニングと生涯学習」に参加して

7月14日、富山のインターネット市民塾より山西理事長と柵事務局長が来熊され、「eラーニングと生涯学習」というテーマで講演が行われました。講演者の略歴や講演の概略は、eラーニング連続セミナーのウェブサイト(http://el-lects.kumamoto-u.ac.jp/) を参照していただくとして、ここでは、講演の中から印象に残ったエピソードをいくつかご紹介したいと思います。

山西理事長からは、富山における産学官共同の取り組みとして平成10年に始まった「インターネット市民塾のコンセプトや運営モデルについてのご紹介がありました。「Teaching is Best Learning」という山西理事長の印象的なフレーズの中には、日常の知恵や経験といった市民の「暗黙知」を顕在化、明示化することの意義や、互いに教えあい伝え合うための「学びと交流の場」の重要性など深い意味が含まれていることを感じました。それは、受講者が講師やサポーターに変容する(これを知の連鎖と表現されていました)過程の中で、一般の市民が教えることを通じて、主役になる、学び方を学ぶ・学ぶ楽しさを知る、仲間ができる・励まされる、知識が引き出される・形になる、元気になる・勇気が出る、自立的に社会に向き合う・考える…というプラスの変化が生まれることであり、このことが市民塾の最大の存在価値ではないかということです。

柵事務局長は、市民塾における(リアルな)交流やスクーリングの様子を写真や動画を使って紹介されました。就労、健康とIT、リーダー育成、ふるさと伝承、防災などなど、さまざまなテーマで、専門家じゃなくても、自分の好きなことを、楽しく学び伝え合う様子が生き生きと伝わってくるプレゼンテーションでした。市民塾には、講座の受講以外に、テーマを発表する、成果を展示する、活動の仲間を集める、ネット教室やサークルを開くなどといったいろいろな参加形態があり、目的によって講座のスタイルやサイトの活用スタイルもさまざまだと。その中でも柵さんが仰っていた「学びの貯金箱」というキーワードは、経験・交流・学び・活動の『あしあと』としての「ライフログ」や、自身の変化を見る(見せる)ための「eポートフォリオ」といった、市民塾の新しい活用スタイルを期待させるものでした。

また、山西理事長が仰っていた「知の連鎖」に関連して、ティーパーティとパソコン活用をテーマにした講座に参加し触発された70歳代の女性が、3年間がんばって自分の講座「体のためになる食事」を開講したこと、その講座には参加者3名、うち最後まで受講したのは1名だったというエピソードを紹介して下さいました。講師を務めた70代女性は、40年近く栄養士として働いていた経験をまとめる大変良い機会となり、それを聞く人が一人でもいたことがとても良い刺激となって最後まで続けられたこと満足していたそうです。ここで柵事務局長は「3年かけて受講者1名の講座をひらくことに意味がないと思われますか?」と聴衆に問いかけられました。そして、柵事務局長は以下のようにコメントされたのです。

「講座開講がゴールではなく、自身の経験をまとめ、顕在化させることによって共有することがゴールであり、そのための手段として講座開講が存在する。だから、講座のテーマがすでに多くの人にとって既知の事実であってもかまわないし、それに向かってディスカッションや情報収集などの学習活動を行い、目標を達成することにより学習者は満足感を得ることができている。」

私は冒頭で紹介した山西理事長が仰った市民塾の存在価値を、このエピソードから、あらためて実感するとともに、ICTを適切に活用することにより、市民講師や学習者の「満足感」をしっかりとサポートできている点が富山インターネット市民塾の成功要因であることにあらためて気づかされました。参加者それぞれのゴールを見出し、ゴールへの到達という満足を得るためのお手伝いを行うこと、このことが、私たち「くまもとインターネット市民塾」においても、目指すべき活動の本質になるのではないかと考えています。

(NPO法人 くまもとインターネット市民塾 事務局 村嶋 亮一)
http://www.learning-square.jp/


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