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IDマガジン第25号 (2009/12/18発行)


[025-04] 【データを見る】2009年米国研修産業レポート

いつも国内の学会や研究会の報告などが多いので、時には海外の情報をと思い、2009年米国研修産業レポートについて紹介する。国内のこのレポートは、米国の雑誌「トレーニングマガジン」が毎年発表しているもので、研修産業の予算、スタッフ、プログラムなどに関する調査報告である。2009年の米国企業がトレーニングに利用した総額は前年比70億ドル減の520億ドル、約半分は対面型研修であることなどがレポートされた。この雑誌は米国では研修(トレーニング)業界では良く知られている業界紙であり、最新の研修事例や教育手法の紹介から、この業界のサラリーなどまで幅広いテーマを扱っている。ここで紹介する産業レポートは毎年この時期になると発表され、調査開始から今年で28回目となる。

調査参加者は、今年の6月から7月にかけて100名以上の従業員を持つ米国内の企業や教育組織を対象にメールで募り、オンラインで調査を実施したとのこと。政府や地方自治体は対象外となっている。データは、企業サイズを従業員数で3つのグループ(小:100人から999人、中:1,000から9,999、大:10,000以上)に分け、企業規模による差も確認できるように分析結果を整理している。

本調査を実施するに当たり基礎データとして、2009年に米国において企業がトレーニングに利用した総額を約520.2億ドルと算出している。ダンアンドブラッドストリート社が持つ企業データベースを用いている。日本のマーケットに比べれば巨額だと思うが、昨年と比較すると70億ドルは下がったそうだ。研修スタッフへの給与は基本的に昨年と変わらず、どこを削減するかといえば、他企業からの製品やサービス購入経費だということも本レポートから確認できる。ただし、調査に参加した41%の企業は1年以内にオンライン学習ツールやシステムを購入する計画があると回答しており、削減の対象は研修室の備品やシステムらしい。ここから、多くの企業がオンライン学習に関心があることが分かる。

来年の研修予算については、全体の47%が削減、17%増加の予定と回答している。
2007年から2008年にかけての下落と比較すれば、従業員一人に対する経費は、昨年からほぼ横ばいに近い。一人あたりに費やす研修費は1,036ドルとであるが、面白いと思ったのは、小規模の企業の平均は1,176ドル、大規模は886ドルと小さい規模の企業のほうがトレーニングにお金をかけている。これは大規模だと、単純に単価が下がるということなのかもしれない。一人あたりに投資する費用にさほど変化がない一方で、個人の研修時間は2008年が平均17.2時間だったのに対し、2009年は31時間と増加している。どんな研修を行っているのであろうか。

気になるトレーニングの実施方法であるが、47%は通常の対面型研修、23%はブレンド型研修、18.5%がオンラインまたはコンピュータ型研修、そして1.5%が携帯などを用いた研修だそうだ。大規模のほうが、ブレンド型やオンライン型の実施割合が高くなる。オンライン型はITやコンプライアンスなど定期的に実施するものに使われ、営業や経営者向けの研修でのオンライン利用率は低いらしい。回答者からは、コストを下げ、効率を上げることが研修実施においてもっとも優先度が高いという結果も出ているそうだ。オンライン型といっても、いろいろあるが、シミュレーションとかVOD型とかそういった情報まではないのが残念である。

最後にアウトソーシングについてだが、一企業がアウトソースする平均費用は約30万ドルで、中央値は50万ドル、さらに回答数が多かったのは10万ドルだったそうだ。一番高い割合でアウトソースされているのが、研修(54%)で、LMS管理(18%)や学習支援(20%)は低く、内部で対応することが読み取れる。
全体の結果としては、ある程度予想できるものだと思うが、米国でもまだまだ対面研修が主流なのだと改めて感じた。対面型研修の割合は以前から大きく変化していないのを見ると、ちょっと残念な気もした。

本雑誌に掲載されているものはダイジェスト版であるが、もっと詳しく読まれたい方は、完全版($39)の購入が可能らしいので、ご興味があればいかがでしょうか。
http://www.trainingmag.com/digitalproducts

(熊本大学大学院 根本淳子)


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