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IDマガジン第5号 (2004/9/21発行)


[005-06]編集後記

本学会誌に掲載される論文は質量ともに毎年充実してきた感がある。編集委員をやりながら一度も本誌に投稿したことがない一研究者の実感として、そう思う。教育の実践に役立つ研究成果という視点で貫かれた授業実践、システム開発、あるいは基礎的研究の数々に接するのは、楽しい。それをどうすればもう少し読者に分かりやすく、研究成果をはっきりと伝えることができるか、あるいは何を付け加えるともっと良い論文になるのかなどを考えて、「採録の条件」や「参考意見」にまとめていく作業には、緊張感と充実感がある。査読の結果、掲載される論文が良いものになっているという実感が、編集作業の緊張感をねぎらい、編集委員としての充実感を支えている。

その一方で、今年初めて全日程を参加した全国大会で拝聴した研究発表の質の低さには驚いた。研究が何を目指したものであったのかが曖昧なもの、どんな手法で研究を進めたのかが伝わりにくいもの、結論として何が言いたいのか(何が分かったのか)が良く分からないもの。「このまま研究を進めれば、学会誌に投稿できますね」と言えるものの割合はどの程度であっただろうか。あまり多かったという印象は残っていない。数多い並行セッションがあったので、「セッション選択運」が悪かっただけかもしれないが。

海外の学会の年次大会では当たり前の口頭発表予稿に対する査読が日本の学会発表にはない。だからといって、学会発表と学会論文との間に存在する超えがたい溝の深さには、呆然と立ち尽くすしかないのだろうか。あるいは単に、その差は日本人(研究者)のプレゼンテーション技法の貧疎さに起因するものであり、研究の質が低いのではないと言える現象だったのだろうか。学会発表予稿の2ページに凝縮された研究の経緯を査読者の目でじっくりと読み直してみれば、その答えは出るのだろう。

学会発表の質を上げるためには、学会発表を学会誌投稿の一里塚として位置づけることである。学会発表で満足せず、いつかはこれをまとめて学会誌に投稿するぞ、と目標を定める。学会発表の質が向上するという成果とともに、投稿数の増加と掲載論文の更なる充実が、その結果として得られることを期待したい。

鈴木克明(岩手県立大学)


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