トップIDマガジンバックナンバー > 第53号

idマガジンロゴ

IDマガジン第53号 (2014/7/15発行)


[053-03]【報告】マーク・ローゼンバーグの再訪?:最後のASTD-ICEカンファレンスより

前回のIDマガジン「ヒゲ講師の活動日誌(48)」にもあったように、ASTD(American Society for Training & Development)はATD(Association for Talent Development)に名称が変更になり、Donald Kirkpatrick氏は他界するという、5月は我々のフィールドにとっては衝撃的なニュースがあった。実は私もASTDの国際会議に参加していたのだが、めったにお目にかかることのできない、学会名改編と一緒に会場の装飾も一斉に代わるという演出を直接見ることになった。

見た目はともかく中身は、というと例年通り大きなイベントであった。今回は皆さんにも参考になりそうなものとして、Marc Rosenbergのスピーチについて紹介したい。彼は、人材開発コンサルタントとして活躍する実践家として有名。著書も多く出ており、翻訳された彼の書籍「eラーニング戦略」をご存じの方も多いのではないか。

さて、プレゼンタイトルは、The Best Training is No Training。話す内容はタイトルから推測する通りのもの。そのわかりやすさが何と言っても魅力であり、ステキだった。生産性とパフォーマンスを向上させるために尽力せよ。そのためには無駄な研修は無くすこと。研修は上位概念ではなく、パフォーマンス→学習→研修の順で最後に検討するもの。また、ICT活用も重要なことであるが、残念な研修に技術をプラスしたら、ますます残念な研修が出来上がってしまう。だから導入前の準備が大事なのよ。ということでした。

よくある現場の様子として、たとえば次のようなものがあります。
さて、皆さんの職場でありそうなことは含まれていますか?

1.業務を遂行する方法を知らない
2.効果的に業務を遂行する方法を知らない
3.既にパフォーマンスを出せていると思っている
4.なぜ業務を遂行しなければならないかを知らない
5.業務を遂行すべきことを知らない
6.信じるべきものを知らず、それがうまくいくとも思っていない
7.現状に関心がありすぎる
8.忙しい過ぎる
9.適切なパフォーマンスを遂行することに対する見返りがない
10.適切なパフォーマンスを遂行することに罰せられる
11.間違って実施することや全く遂行できていないことに対する影響がない、または、ほとんどない
12.パフォーマンスを出すための、財務、技術、ワークプレイス、人材がない
13.業務またはタスクがよく検討されていないか、実行不可能である
14.パフォーマンスを遂行するための能力がない

ここに挙げられる課題を解決するためには、基準、ツール、フィードバック、情報源、動機づけ、ジョブデザイン、インセンティブ、能力、スキルなどいくつかのアプローチがあることに注意して、まずはワークプレイスや業務に焦点を当て、そのあとに、現場の従業員について考えましょう、つまり人が関与する研修ではなく、もっと広い視野を持ちなさいということ。

加えて、人が成長していく中で必要な支援方法は変わっていくことについてもリマインダがあった。新人たちには、まず情報を提示する研修は役立つけれど、成長するにつれて研修の必要性は減り、メンタリングやソーシャルメディアなどを使って必要な時に支援するようになるでしょう。Push型からPull型ということですね。

個人的にはすごく久し振りに彼のプレゼンを聞いた。今までと変わらないわかりやすい筋の通ったメッセージと話し方。新しいことが盛りだくさん、ということではないけれど、現代に合わせての説明が印象的。新しい時代に向けて走り出す中で、大事なことは忘れずにといったメッセージというところでしょうか。

(愛媛大学 根本淳子)


IDマガジン購読

現在 666 名の方がIDマガジンを購読中です。 定期購読ご希望の方はメールアドレスを登録してください。


登録後、確認メールが届かない場合「迷惑メール」となっている可能性があります。「id_magazineあっとml.gsis.kumamoto-u.ac.jp」と「idportalあっとml.gsis.kumamoto-u.ac.jp」を迷惑メールから除外して再度登録ください。←「あっと」は「@」に置換え。

おすすめ情報

教授システム学専攻の公開科目でIDの基礎を学習できます。おすすめ科目は以下です。
・基盤的教育論
・eラーニング概論