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IDマガジン第57号 (2015/6/30発行)


[057-03] 【報告】米国訪問記(その1:North Western University編)

第2期生中嶌です。特定事業研究員として今年1月にGSISに着任になりました。これからよろしくお願いします。さて去る3月、米国の大学を調査訪問してきましたので、調査団を代表しまして私がその訪問記をレポートします。

その前に前段のお話を少々。平成25年の教育再生実行会議第三次提言で謳われた「社会人の学び直し機能強化」。教授システム学専攻でも文部科学省と熊本大学の支援を受けて「社会人の学び直し」を支援するプロジェクトを推進しています。ご存知でしたか?詳しくはこちらを。http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/kyoten_h26/
ここでは、「社会人の学び直し」を広く支援するために、まず「社会人の学び直し」を支援できる教育専門家を育成する教材パッケージを作ろうとしています。「社会人の学び直しを支援できる」って?それは、オンライン学習を含めた、ICTを活用した多様な学習者向けの授業設計が的確に実現できることです。この教材パッケージを、これから大学教員になる院生や新任教員を対象にして全国展開することで、「社会人の学び直し」を拡散的に支援していこうとするものです。全国展開するからには、GSIS流にオンラインをベースに展開して行こう、というわけです。

前置きが長くなりましたがこのたびの訪米、このプロジェクトに関わる幾つかのキーワードに関して、米国の大学の先進的な取り組みを調査することが目的でした。キーワードは、「プレFD(ファカルティディベロプメント)」「コンピテンシーリスト」「デジタルバッジ」そして「ティーチングポートフォリオ」といった辺りです。

最初の訪問先は、North Western University(以下、NWU: http://sps.northwestern.edu/)(イリノイ州)。シカゴの市街地にあるキャンパスは、新旧入り混じったさまざまなデザインの高層ビルが立ち並ぶ大都市の一角、湖に近接する素晴らしいローケーションにあります(真冬は湖が凍るそうです。訪問時は、岸辺が凍ってました!)。
今回のシカゴ訪問を調整くださったのがNWUのDr. Khusro Kidwai(クスロ先生:ibstpi理事)。3月に国際フォーラム(@熊本・大阪・東京)で講演してくださった先生です。クスロ先生が所属するSchool of Professional Studiesの遠隔教育チームは、Instructional Designerであるクスロ先生がリーダーとなり、ビデオ制作やLMS上の画面作成など、10名ほどのスタッフ(多くがInstructional Technologistという肩書き)がひとつのチームを形成して、オンライン科目の授業作りと教員支援を実現しています。支援対象は学内向けコンテンツのほか、MOOCコースも制作されています。
また、ここでは「プレFD」や「デジタルバッジ」といったキーワードに関連して、高等教育機関の教職員向けにオンラインコースを提供するIllinois Online Network (以下、ION:http://www.ion.uillinois.edu/) のDr. John Scottとの遠隔ミーティングが設定されました。IONでは、オンライン教育を実施する教員に必要なスキルを身につけることができるMaster Online Teacher Certificate(MOT:4オンラインコース×8週間と実習ほか、で修了できる研修)が開講されています。この研修では、オンライン教育者のコンピテンシーとして、①運用管理能力、②人格・性格、③技術的知識と活用能力、④インストラクショナルデザインに関する知識と活用能力、⑤教え方の知識と活用能力、⑥学習成果の評価に関する能力などが挙げられています。
なお、これらのプログラムを修了すると、修了者にはMOT修了のデジタルバッジが付与されます。「Mozilla Open Badge」(http://openbadges.org/)のサービスを利用しており、修了者は取得基準や学習成果のエビデンスなどに関わるメタデータが書き込まれたバッジをメールやFacebookなどに貼り付けることで「自分はこれを修了した/これに関する能力がある」と示すことができるようになります。
ちなみに、MOTの必修コースのひとつに“Instructional Design for Online Course Development” というID関連のコースがあります。オンラインで受講できますからもし興味がありましたらIONのサイトで是非チェックを。(ちなみに、GSISの「インストラクショナルデザインⅠ」も科目履修できます。こちらもチェックください!
http://www.gsis.kumamoto-u.ac.jp/exam/info/research-student/

この「デジタルバッジ」については、2011年に日本国内でも広く報道されたこともあり、ご存じの方も多くおられると思いますが、修了した学習内容を証明するために運用されているデジタルバッジの実践事例は、国内では殆ど見られません。デジタルバッジをオープン環境に置くことによって、学位記や履修証明書では示すことのできない学習者の具体的な学習履歴と獲得した能力の一覧を電子的に提示できるようになると、キャリアアップ活動(→能力や学習履歴を提示)や、グループによる共同学習の場面(→お互いの能力を理解して補い合う)など、さまざまな場面で有効活用できます。学習者にとって非常に強力なツールとなりますので、米国の事例を参照して引き続き運用の検討をしたいと考えています。

・・・ところで、シカゴっ子が「全米No.1」と自負するDeep Dish Pizzaは超分厚くて、とても美味しかったですよ(一度検索して画像を見てみてください)。食べきれないボリュームでした! と、お腹を満たした我々はシカゴをあとにして空路ペンシルバニアへ向かいます。。。(この続きは次号掲載予定です。)

教授システム学専攻 中嶌康二(第2期生)


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