トップIDマガジンバックナンバー > 第57号

idマガジンロゴ

IDマガジン第57号 (2015/6/30発行)


[057-04] 【報告】GSIS設立10周年記念 同窓会主催特別イベント「GSIS創世記 ~誕生前夜から博士0号輩出まで~(2015/4/11)」の実施報告

2015年度は、熊本大学大学院 教授システム学専攻(以下GSIS)設立10年目の年です。そこでGSIS同窓会では、これまでのGSISを振り返り、次の展開を探るべく、今年1年間で様々なイベントを企画しています。その第一弾として、GSIS第10期生の入学をお祝いする「入科式」にからめて、2015年4月11日に開催した特別ベントについてご報告いたします。

●10周年記念特別イベント 実施報告
みんなでGSISの始まりを知ろう!ということから、テーマは「GSIS創世記 ~誕生前夜から博士0号輩出まで~」としました。冒頭に第1期生入科式の映像を流し、2006年4月6日に気持ちをタイムスリップさせたところで、GSIS誕生にかかわった様々な方々をお迎えして、4つのスペシャル対談(鼎談)を行いました。紙面の都合から、1つ目のセッションを中心にご報告します。

(1)GSIS設立当時を語る:崎元達郎先生、小松秀圀先生(司会:中野裕司先生)
まずは教授システム学専攻の中野先生から、設立に至った流れを年表でご紹介いただきました(年表は、中野先生が10年前のメールを発掘して作った労作!)。2004年ごろの熊本大学では「eラーニングは学習効果があることは分かっているが、日本にはその設計をするインストラクショナルデザイナー(以下、ID者)がいないらしい。海外には普通にいるらしい。」という話が出ていたそうです。そこで学長から調査を依頼された中野先生らが、ID者養成のための独立専攻設置案を含む答申を提出したのが2004年12月28日のこと。そして年が明けて2005年1月4日、年頭挨拶にて学長が「専攻を作ります」と宣言。それからわずか1年ちょっと後の、翌年2006年4月6日には第1期生を迎えるというわけです。なお、2005年12月19日には「eラーニングの新展開」@一橋記念講堂が開催され、その中で産業界を代表して世界のeラーニング動向をご紹介していただいたのが、日本イーラーニングコンソシアム会長(当時)の小松秀圀先生でした。

この流れを受けて、小松先生がご登壇されました。企業内教育では、1980年代には「インストラクショナルデザイン」という言葉は使われ、ID者の必要性は分かっていたとのことです。小松先生が役員をされていたNTTラーニングシステムズ社では、米国への留学を推奨するなどID者養成を見据えた動きもあったとのことでした。

そしてスペシャルゲストとして、GSIS創設を決断された張本人、元熊本大学学長で、現在は熊本保健科学大学学長であられる崎元達郎先生のご登壇です。崎元先生によると、産業界に比べると少し遅れているものの、高等教育でも1990年後半にはマルチメディアを用いた教育推進構想は政策として掲げられていたとのことです。そして2004年に熊本大学が法人化することとなり、当時学長だった崎元先生は法人化の目玉の一つに「高度情報化キャンパス」を掲げたそうです。その流れで、「日本初の」eラーニング専門家養成機関設立に踏み切ったとのことでした。

GSISのスピード設立の背景には、法人化によって執行部の裁量が大きくなったことが要因のように思いました。

(2)設立までの舞台裏を語る:大森不二雄先生、宇佐川毅先生(司会:中野裕司先生)
2つ目のセッションは、崎元先生曰く「優秀な学長特別補佐」であり、GSIS設立の裏方である、大森先生(首都大学東京)、宇佐川先生(熊本大学)、中野先生のご登場です。大森先生からは「GSISは偶然の産物」「裏方は大変」というお話を頂きました(残念ながらぶっちゃけ話過ぎてここには書けないです)。また宇佐川先生からは、情報リテラシー科目で小テスト型教材が有効だったことから、ITの力が教育に使えると確信したというエピソードをご披露いただきました。

なんと、大森先生、宇佐川先生、中野先生、そして鈴木先生は同じ年生まれです。この偶然に、すべての先生方が、特別なご縁を感じたということをおっしゃっていたのが印象的でした。

(3)黎明期の修士号取得を語る:加地正典氏、宮原俊之氏
3つ目のセッションは、第1期生の登場です。なんとお二人とも、2005年12月19日に「eラーニングの新展開」のセミナーを受講したことが、GSISへ入学しようと思った直接的なきっかけとのことでした。加地さんはGSISに入った後の印象について、「GSISは自分の専門外の分野の学習で大変だった。学会に参加する機会もあってとても勉強になった」と述べられていました。宮原さんは入学後に「履修登録システムの個人情報入力画面で、住所は九州地方しか入力できなかった(しかたなく熊本県東京都・・・と入力)」など、事務的な躓きのエピソードを紹介してくださいました(今は事務手続きも変わっています)。

先輩方のおかげで今のGSISの学習環境があることに、つくづく感謝です。

(4)黎明期の博士号取得を語る:市川尚先生、根本淳子先生
最後のセッションでは、GSISに博士後期課程がなかった時代に、インストラクショナルデザインの研究で博士号を取得した市川先生(岩手県立大学)、根本先生(愛媛大学)のご登場です。お二人のキーメッセージは「急がば回れ(近道はない、基礎固めが大事)」「研究者の道を選ぶなら徒弟制の勧め(指導教員につかる)」「仲良くしてね(一緒に研究をやりましょう)」でした。当時の写真や様々なエピソードを交えて、キーメッセージを楽しくご紹介いただきました。

特に、お二人の「一緒に研究をやりましょう」という言葉が心に残りました。

注記)崎元先生の「崎」のつくりは、正しくは「大」ではなく「立」です。

●次回特別イベント開催のお知らせ
『インストラクショナル・デザインと学習環境設計』(セミナー+屋形船セッション)

日本におけるIDの第一人者である、早稲田大学 向後千春先生と熊本大学 鈴木克明先生の講演を受けて、千葉工大 仲林先生を交えて学習環境設計について討議します。前述のイベント報告のように「対面でしか聞けない話」や「出会い」があると思います。ぜひご参加ください。

※定員に達したため、屋形船セッションは締め切りました。現在はセミナーのみのお申し込みを受け付けております(セミナーのみも残席が少なくなってきました!)。

【日時】
2015年8月22日(土)13:30-21:00ごろ

【会場】
富士通ラーニングメディア品川ラーニングセンター 品川インターシティB棟12階
http://jp.fujitsu.com/group/flm/facilities/shinagawa/

【登壇者】
向後千春(早稲田大学 人間科学学術院 教授)
鈴木克明(熊本大学大学院教授システム学専攻 教授)
仲林 清(千葉工業大学情報科学部教授、熊本大学GSIS客員教授)

【主催】
GSIS同窓会、一般財団法人日本教育学習評価機構

上記イベントも含め、今後の特別イベントの最新情報やお申し込みにつきましては、GSIS同窓会ホームページをご覧ください。

【GSIS同窓会ホームページ】
http://www.gsis.jp/

高橋暁子(GSIS第2期生・GSIS同窓会事務局)


IDマガジン購読

現在 666 名の方がIDマガジンを購読中です。 定期購読ご希望の方はメールアドレスを登録してください。


登録後、確認メールが届かない場合「迷惑メール」となっている可能性があります。「id_magazineあっとml.gsis.kumamoto-u.ac.jp」と「idportalあっとml.gsis.kumamoto-u.ac.jp」を迷惑メールから除外して再度登録ください。←「あっと」は「@」に置換え。

おすすめ情報

教授システム学専攻の公開科目でIDの基礎を学習できます。おすすめ科目は以下です。
・基盤的教育論
・eラーニング概論