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IDマガジン第58号 (2015/10/22発行)


[058-03]【報告】米国訪問記(その2:Pennsylvania State University編)

さて前号に引き続き、米国訪問記をお伝えします。シカゴを後にした我々はペンシルバニア州のPennsylvania State University(以下、PSU)を訪問しました。今回はそのお話を・・・

シカゴの大空港と対照的な平屋1階建のCollege State空港を降りると、Happy Volleyと呼ばれる緩やかで広大、そして美しい土地にそのキャンパスが広がっています。ここでアテンドしてくださったのは、PSUのThe Schreyer Institute for Teaching Excellenceで授業コンサルタントをされているDr. Kathy Jackson(ibstpi理事)。彼女は我々のために二日間で実に17名のInstructional DesignerやInstructional Consultantとの対面の機会を作ってくださいました。訪問先の部局を挙げると・・・

・教育&学習へのICT活用を支援するTeaching & Learning with Technology (TLT)
・教員の教育の質向上を支援するSchreyer Institute for Teaching Excellence
・学内のコンピュータ、システム、サービス利用支援窓口であるInformation Technology Service (ITS)
・学科内でオンラインコース配信を行っているCollege of Information Sciences & Technology
・世界規模でオンラインコースの提供を行っているWorld Campus
・オンライン学習に関わる研究を通して教育・学習のイノベーションを目指すCenter for Collaborative Online International Learning (COIL)

など、です。これらの部局それぞれにインストラクショナルデザインを学んで職に就いているスタッフが多数配置されています。また、部局間のインストラクショナルデザイナー同士のネットワークも整備されており、効果・効率・魅力を高める体制がキャンパスワイドで整えられている様子が伺えました。

訪問先の一つ、World Campusというオンライン学習を専門的に配信している部局は、1998年に開設され、学部から大学院までの各レベルのオンラインコースを提供しています。毎年15コース程度の新しいコースが開設され、そこではコースをオンライン化するための授業設計と授業実施のため、担当教員とインストラクショナルデザイナーが協働しています。現在、950名の教員がオンラインコースを配信しているそうです。それだけインストラクショナルデザイナーが活躍する場がある訳ですね。そして、教員との協働は授業支援に留まりません。オンライン教育のためのFDにも力を入れています。FD用の研修コースを設計・開発し、主に新任の教員に効果的なオンライン教育を実施できるようになるためのスキルを身につける機会を提供しています。ここでもインストラクショナルデザイナーは活躍しています。なお、World Campusでは、FDの一環としてティーチングポートフォリオの運用支援を行っているそうです。その主旨は、自身の教育活動の振り返りと改善のため、そして、自身の今後のプロモーションに活用できる教育業績履歴として、とのことですが、後者の方が重視されているような印象でした。日本国内では、ティーチングポートフォリオが広く浸透するには、まだ時間がかかりそうですね。有効活用するためには、各機関がどのような主旨で運用するのか、誰にどんなメリットを生むためなのか、を明確にしておく必要があると思います。この記事の冒頭に記述した熊大で開発する教材パッケージにおけるポートフォリオ活用が、ひとつのよい事例になればと願う次第です。

さて、上述したようなPSUにおける取り組みがうまく動いている最大の要因のひとつは、十分な人数のインストラクショナルデザイナーを擁していること、とWorld CampusのFD担当ディレクターDr. Laurence B. Boggessは言われていました。米国の大学のID人材育成の成果により、加速度的にIDを有効活用した教育が広がっていることを感じさせるWorld Campus訪問でした。我が国でも、ID人材の育成を促進し、効果的なID活用を実践していかなければいけませんね!

穏やかな気候のPenn Stateの日々が終わりますと、第一次調査団の旅程も終了です。今回、現地で見聞きしたことは、今後プロジェクトを推進していくのに当たって示唆とヒントを与えてくれる大変有益なものでした。さらに、ここで生まれた人的ネットワークにより、今後、さまざまな場面、テーマで協働する機会が出てきそうです。とても楽しみであります。

レポートは以上です。プロジェクトが実りあるものとなるよう専心することを誓って、ここで筆を置きます。また調査に行きたいなぁ、と思いつつ・・・。

ちなみに、米国訪問レポートはまだ終わりません。次号では、ニューヨーク州編が掲載される予定ですので乞うご期待!

教授システム学専攻 中嶌康二(第2期生)


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