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IDマガジン第7号 (2004/11/28発行)


[007-06]メルマガに見るIDトレンド:ホートン氏のインタビュー紹介

IDマガジンの次の日誌に何を書こうかなぁ、また「あぁ忙しい、こんな活動しました」というのも飽きたしなぁ、と思っていた矢先に、絶好のメルマガが届いた。IDのトレンドをホートン氏が語る、というものだ(TRAINING DIRECTORS’ FORUM E-NET: A discussion-driven newsletter for training managers 2004年11月18日号:http://www.vnulearning.com/archive.htmにそのうちアーカイブされるでしょう)。

ホートン氏(William Horton)といえば、『eラーニング導入読本』(原題はDesigning Web-Based Trainingなのになぜか日本語訳ではWBT→eラーニング。ローゼンバーグが知ったらきっと怒るでしょう)の著者。ASTDの中心メンバーの1人で、拙著『詳説インストラクショナルデザイン:eラーニングファンダメンタル』でもお世話になった人(第6章6節デザイン要素とツールでHortonの見取り図を断りもなく借用)。コンサルタントとして働いている同氏がここまで手の内を提供してしまってよいのかと傍目に心配になるほど充実したWebサイト[http://www.horton.com]は圧巻です(負けてる。。。)。

というわけで、今回のID日誌は、またまた断りなくホートンのインタビュー記事をなるべく忠実に日本語訳してお届けします。ホートンさん御免なさい、そしてありがとう。

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■IDトレンドで最も重要なものは何か?

1)学習者にコントロールさせること。学習したいと思っているかどうかにかかわらずとにかく教えようとするのではなく、「潜在的な学習経験を用意するノウハウ」に動いている。今日のID者に求められているのは、囚われた聴衆ではない人をいかに教育するのか、というチャレンジに答えること。

2)すべての研修・教育場面でIT技術を用いること。ID者は、学習をより効果的で効率的で世界中からアクセス可能にするためにIT技術をどう活用するかに苦心している。同時に、ID者は、学習プロセスの中に無関係で邪魔になるIT技術が入り込んでくるのをいかに防ぐかに注力しなければならない。

■メディアを選ぶ上での基準は何か?

メディア選択には注意深い考慮と判断が必要であり、「○○を教えるときにはいつも××を使え」という原則は避けるべき。個人的な好みは忘れろ。直前のプロジェクトでうまく行ったことは無視しろ。次の5つの基準を用いなさい。

1)自然な言葉を話しなさい。学習者と学習課題と学習目標にフィットするメディアを選択しなさい。高校の部活動コーチに緊急医療手順を教えるときと、不動産担当弁護士に税制の最新の改訂内容を教えるときでは、選択されるメディアは異なる。「この学習者にこの学習課題を教えたいという私のゴールをもっとも直接的に、素早く、自然に達成する方法は何か?」と自問せよ。

2)重要なメッセージには複数のメディアを使いなさい。見ることと聞くことを同時にすると、見ることか聞くことかのどちらか一方の場合よりも、長期に記憶できるし応用力も増す。もしも一つのメディアが何かの理由で駄目になっても、他方のメディアが救いになる。複数のメディアを用意すれば、機器の故障、視聴覚障害の学習者、疲労や不注意の助けとなる。

3)機能を優先しなさい。美学はその次。娯楽性はさらにその次。メッセージをまず伝えよ、そしてその次に、メッセージを心地よく魅力的にすることを考えよ。それができてから、巧妙さと娯楽性を加えよ。エデュテイメントは教育的でも娯楽的でもないと思え。ハリウッド行きはリスク覚悟で。

4)現実的でいなさい。メディア制作についての自分の能力と学習者の実行環境を考慮せよ。フルスクリーン動画は理想的な手段かもしれないが、低速ネットワークを介して用いなければならない学習者向けではない。精細に描かれたアニメーション表現は実験室では問題なく動いても、現実世界のスケジュールと予算に縛られたときには失敗する。洗練された文章と説得的な静止画を組み合わせれば、アマチュアレベルのビデオやぎこちないアニメーションよりも良い効果を得られる。

5)自然な言葉を話しなさい。すでにこの点は指摘した。でも、これがメディア選択についての最初で最後のアドバイスになる。

■外部標準に準拠する際のアドバイスは何か?

外部標準の多くは、管理システムとオーサリングツールの技術的な要求を満たすために存在する。ID者としては、学習をより効果的にするという視点で外部標準を採用すべきである。そのためには、つぎの点を注意しなさい。

1)あなたの学習者に害をもたらす標準には抵抗しなさい。あなたがデザイナーとして分岐の多いシミュレーション型教材が必要だと判断するのならば、外部標準が単純な階層構造を要求してもそれに満足してはならない。

2)標準準拠の問題は、設計の問題ではなく開発の問題として位置づけなさい。まず、学習者にとって最良の学習経験を設計せよ。それができた後に、どうやって標準に準拠する形で実装するかを考えよ。なるべく苦労せずに標準に準拠できるツールを利用するように計画せよ。

3)要求事項を明確化しなさい。準拠を要求している側が何を要求しているかを分かっていると仮定してはならない。(不)適切な次のような質問をすべし。「正確には標準のどのバージョンですか?」「どの程度準拠する必要がありますか。完璧にですか、それとも最低限ですか? どの条項にですか?」そして、「それは何故ですか?」と尋ねることも決してお忘れなく。

4)標準の精神に準拠しなさい。SCORMはコンテンツをモジュール化して再利用可能にするために存在する。508条は障害のある人々がコンテンツにアクセスできるようにするために存在する。あなたの設計でもこれらの目的にフォーカスすること。要求項目の文字ヅラを超えて考えよ。
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今、読者がID者として迫られている判断を下すときの、参考になりますように。
(ヒゲ講師記す、というか訳す)


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