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[最新]IDマガジン第76号(2018/11/23発行)

[076-01]IDマガジン 第76号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2018年11月23日━━━━
<Vol.0076> IDマガジン 第76号
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皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。
紅葉の季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回も、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

今回のコンテンツメニューはこちら↓
《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(72):下山・鈴木対談を終えて~アカデミック・トランスフォーメーションとミネルバ大学~
2. 【ブックレビュー】『Learn Better 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』
アーリック・ボーザー著 月谷真紀訳
3. 【報告】第36回まなばナイト10/13(土)東京「学会ことはじめ」
4. 【ご案内】第37回まなばナイト 12/16(土)東京「成果を発表するということ」
5. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★ 編集後記


[076-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(72) :下山・鈴木対談を終えて~アカデミック・トランスフォーメーションとミネルバ大学~

ヒゲ講師は、2018年11月15日御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンターにいた。eラーニングアワード2018フォーラムで人財ラボの下山さんに誘われて対談に登壇するためであった。対談のタイトルは「ラーニング・トランスフォーメーション ~Reskilling & Upskilling for 2025 働き方・学び方が明らかに変わる『2025年』に向けて~」。経産省がDX(デジタルトランフォーメーション)の報告書を出したばかりということもあり、未来志向で人材育成者が何ができるか、何をすべきかを話し合った。結論は、Reskillingとしては研修体系の見直しが必要、Upskillingとしては学び方を学ぶという視点が必要、ということに落ち着いた(のかな)。

冒頭で紹介したのはアメリカで使われている大学入門教育のテキスト。そのタイトルが『アカデミック・トランフォーメーション』であり、高校生を大学生に、すなわち生徒を学生に変換するために書かれた教科書で、トランスフォーメーションとはさなぎが蝶に「変態する」ことを意味していると説明。知識は覚えるものという常識をくつがえし、分かっていないことを探究するのが学問であるという変換を迫る。これが大学入門教育の目指すところで、わが国でもそういう発想が求められている、と解説。最後に紹介した『学習設計マニュアル』への布石でもあった(どうつながるか、お分かりいただけますかね?)。

次に紹介したのは、ミネルバ大学。我が国への誘致に奔走した山本秀樹さんが近著『世界のエリートが今一番入りたい大学:ミネルバ大学』で詳細に紹介され、話題を呼んでいますね。そう言って、この書籍の表紙を投影したら、カシャカシャと写メの嵐。あれ、ご参集の皆様はご存じなかったのかもしれませんね。書籍の帯には「校舎がない:4年で世界の7都市をめぐる。教師は『講義』も『テスト』もしない。全寮制なのに、授業はすべてオンライン。ハーバードやスタンフォードを超える人材がなぜ、この『ありえない』大学に殺到するのか?」とある。読まずにはいられない魅力的な帯ですね。

2014年9月サンフランシスコにて開校したこの「ありえない」大学は、講義をしない。対面指導をしない。キャンパスがないので、学費が比較的安い(年間授業料は約145万円、寮費は約100万円)。受験料が無料で入学希望者が殺到し、合格率はわずか2.8%。キャンパスがないのに学期ごと世界7都市で全寮制(サンフランシスコ、ソウル、ハイデラバード、ベルリン、ブエノスアイレス、ロンドン、台北:我が国への誘致は残念ながら失敗)。学生は全寮制なのに教員は遠隔地から独自開発プラットフォーム「アクティブ・ラーニング・フォーラム」越しに学生18名との議論に参加。4つのコアスキル(Thinking Critically/Creatively、Communicating/Interact Effectively)を教える独自カリキュラムは、1年次全科目必修で学び方を学び、2年次に2学部まで選択して自分の軸をつくる。3・4年次でキャップストーン科目に取り組んで実社会への応用力を養うというもの。いやぁ、よくできていますね、と感心させられっぱなしでした、と解説。

実は、今から13年前の2006年に開設した熊本大学の大学院教授システム学専攻もミネルバ大学と似たような発想で作ったんですよ(もちろん、これが一番言いたかったこと)。教授陣は熊本在住、学生は全国に散らばっているというあたりは逆なのですが、講義はないし、定期試験もない。覚えることは一切ないが、実務への応用を目指している。修了生コンピテンシーを掲げ、全科目の課題をその達成に紐づけている。対面授業をオンライン化するのではなく、オンラインの特徴を生かしたeラーニングを設計。似てますよね? ミネルバ大学は学部だが大学院相当の教育をしている、という見方もあるので、ますます似ているように思えてくるのが不思議。だいたい対面型の教育があまり意識的にデザインされていないのに、それを単にeラーニング化しただけだと、まずい側面を再現することになる。同型性ではなく同価値を追求すれば、対面とオンラインでは異なる形に落ち着くのがむしろ自然なのです。対談ではそうは言わなかったが、振り返って改めてそう思うのでした。

(ヒゲ講師記す)

参考文献
Seller, D., Dochen, C. W., & Hodges, R. (2014). Academic transformation: The road to college success (3rd Ed.). Peason

山本秀樹(2018)『世界のエリートが今一番入りたい大学:ミネルバ大学』ダイヤモンド社

 


[076‐03]【ブックレビュー】『Learn Better 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップ』 アーリック・ボーザー著 月谷真紀訳

「深い学びを得るにはいったい何が必要なのか?」帯に書かれたこのテーマ、IDを学び取り組む中で私たちが日ごろ考えていることと同じですね。「価値を見いだす」「目標を決める」「能力を伸ばす」「発展させる」「関係づける」「再考する」という6つのステップで書かれている内容にはIDとの類似点・共通点が非常に多く、我らが鈴木先生の『学習設計マニュアル』にも通じるものがあります。
IDとの相違点を考えながら読み進めると、IDのモデルや理論、基本的な考え方などに対する自分の理解度やスタンスの確認になります。全編に“Learn Better”のための具体策がちりばめられているので自分自身の学習方略として活用できるのはもちろんですが、翻って考えることで自分が携わる教育活動についてのインスピレーションが得られる側面もあります。疑問や興味を抱いた部分について参考文献をたどれば、学びが広がり新たな研究の種が見つかる可能性もあるでしょう。個人的には、自分が息子の学習に対してどのようにかかわってきたかをふり返ったり、今息子がどのように学ぶことに向き合っているかを客観的に考えたりすることにもつながりました。
改めて考えさせられたのは、深い論理的思考や推論思考など脳が高度な活動をするためには理性と感情の両方を必要とするということです。「頭の中が平穏でなければ頭の奥深くで理解することはできない」「自分にはできる」と思わなければ学習はできない」というのは自分にも思い当たる節があります。私が仕事で向き合っているのは外国人留学生ですが、彼らが抱える様々な事情を考慮し心や頭の中を整えるのに自分(たち)がすべきことにはもう少し工夫の余地があるように感じました。この本は、学習困難を抱えていた著者自身の経験と多くの参考文献に基づいて思考のスキルを身につけるための知見がまとめられたものです。これまでの経験、知識、偶然知り得たこと等と照らし合わせたり統合したりしながら読むと、一人ひとり異なる気づきが得られるのではないかと思います。
“本当にここに書かれていることは正しい?”“読んだ部分に何が書いてあった?”“書かれていたことを要約するとどうなる?”等々、読みながら自分に問いかけることで読むことは脳を働かせる「活動」になるとあります。秋の夜長に、2017年アメリカAmazonのベスト・サイエンス書『Learn Better』でアグレッシブな読書はいかがですか。
(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士11期修了生 土屋理恵)


[076‐04]【報告】第36回まなばナイトレポート「学会ことはじめ」

9月4日~6日開催のJSiSEは北海道で地震、9月28日~30日開催のJSETでは台風と、今年は学会ごとに自然の力を思い知らされる年でした。

第36回まなばナイトは『学会ことはじめ』と題して、両学会でご発表された方々のリフレクションと発表後の聴講者からのコメントや質問をもらった際の感想なども踏まえて情報をシェアして頂きました。

【当日の発表内容】
・授業担当者インタビューによる「思いに寄り添う提案」の基盤づくり
鈴木 克明(熊本大学),市川 尚(岩手県立大学),高橋 暁子(徳島大学),竹岡 篤永(明石高等専門学校),根本 淳子(明治学院大学)
・ITのビジネス活用を主題とするビデオとオンラインレポートを用いた授業における学習者の授業評価分析
仲林 清(千葉工業大学)
・コンピテンシーや学術基準のシステム開発における標準化動向
宮崎 誠(畿央大学 教育学習基盤センター)(資料のみ)
・定期試験を振り返る授業実践の報告
竹岡 篤永(明石工業高等専門学校)
・留学生が日常生活における日本語使用を振り返ったときに強く印象に残っている接触場面は何か
甲斐 晶子(熊本大学大学院、桜美林大学)
・受身形転換練習のためのスマートスピーカー(Alexa)用機能の開発
甲斐 晶子(熊本大学大学院/熊本大学),松葉 龍一,合田 美子,鈴木 克明(熊本大学)
・論文投稿チュートリアルを受けて
北川 周子(熊本大学教授システム学研究センター)

当日は甲斐さんに司会をして頂きました。まずは各人が学会で発表した内容を5分でお話して頂き、その後は当日頂いた質問、それに対する回答をお話頂きました。その後、参加者からの質疑応答タイム。様々な視点での質問が飛び交い、熱いディスカッションが繰り広げられました。

参加者が現GSIS生が多かったこともあり、グループディスカッションとして、研究についてや、発表は口頭とインタラクティブどっちがいいの?等先輩たちへの質問タイムが繰り広げられました。

そして、メインの懇親会の会場へ移動!
各テーブルでも楽しく深く学んでいただけたことだと思います!

次回は12月16日(日)BBT大学にて今年最後のまなばナイトを開催します。
内容が決まり次第サイトにアップ致します。
そして年末大忘年会を開催します。忘年会のみの参加も大募集です。

(熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 北川 周子)

○写真入りレポートは以下をご覧ください。
http://www.manabanight.com/info/manabanight36report


[076-05]【ご案内】第37回まなばナイト(東京)「成果を発表するということ」

第37回 まなばナイト@東京
「成果を発表するということ」

日時:2018年12月16日(土)17:30-19:00(16:30より受付)
場所:ビジネス・ブレークスル-大学 麹町校舎 麹町スクエア1階
(東京都千代田区二番町3番地)

今回は、日本e-Learning大賞で受賞されましたGSISの誇らしい修了生2名に登壇いただき、
その受賞された取り組みはもちろん、発表に至る過程や盛り込むことができなかったネタなどを
交え話題提供いただきます。
また特別編として、専攻スタートから講師としてご活躍、博士後期課程を経て同窓生でもあられます
柴田先生の出版記念講演も行います。
年末恒例、入科相談会と大忘年会も予定しております。
今後、ご自身の成果を発表されたい方、そして教授システム学に興味のある方、下記のお申込みフォームから奮ってお申込みください。いつも通り、ドリンクとおつまみ付きで、フランクにみなさんで考え学びあうワークショップです。 会場の関係上、先着20名となりますのでお早めに!
ご発表者と参加者を広く募集させて頂きます!奮ってご参加ください!!
(続きは→http://www.manabanight.com/event/manabanight37)

各回のテーマや登壇者など、最新情報は以下に随時アップしていきます。
http://www.manabanight.com/
https://www.facebook.com/manabanight/


[076-06]【イベント】その他、近々行われるイベントは? 2018/12~2019/03

2018/11/24(土)-25(日)
日本教育メディア学会第25回年次大会@鹿児島大学
2018/12/07(金)-08(土)
第26回 情報処理学会 教育学習支援情報システム研究会(CLE)研究発表会@福井
2018/12/08(土)
日本教育工学会研究会「学習データ分析/一般」@早稲田大学
2018/12/16(土)
第37回 まなばナイト@東京 「成果を発表するということ」
2019/1/12(土)
教育システム情報学会研究会「新技術と教育情報を活用した教育学習環境の設計/一般」@こらっせ福島


[076-07]★ 編集後記

今回初めてのIDマガジンの編集で緊張しました。
ブックレビューはいかがでしたか?「頭の中が平穏でなければ頭の奥深くで理解することはできない」という部分を読み返し、日頃の自己調整の大切さを再認識させられました。
今後も引き続き、皆さまに役立つ情報をお伝えしてまいります。
(第76号編集担当:仲道 雅輝)
よろしければ、お知り合いの方に、Webからの登録をお勧めしてくださいませ。
また、皆さまの活動をこのIDマガジンに載せてみませんか?
ご意見・ご感想・叱咤激励など常時お待ちしております!
【 mail to: id_magazine@ml.gsis.kumamoto-u.ac.jp】
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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編 集 編集長:鈴木 克明
ID マガジン編集委員:根本淳子・市川尚・高橋暁子・石田百合子・竹岡篤永・仲道雅輝・桑原千幸
発 行 熊本大学大学院社会文化科学研究科  教授システム学専攻同窓会
http://www.gsis.jp/
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・基盤的教育論
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