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[最新]IDマガジン第77号(2019/1/11発行)

[077-01]IDマガジン 第77号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2019年1月11日━━━━
<Vol.0077> IDマガジン 第77号
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皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。
本年もIDマガジンをよろしくお願いいたします。
どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

今回のコンテンツメニューはこちら↓
《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(73):節目を迎えて振り返る人生設計の効果・効率・魅力
2. 【ブックレビュー】『実践知―エキスパートの知性』 金井壽宏/楠見孝編 有斐閣
3. 【ご案内】第38回まなばナイト 2/9(土)東京「eラーニングと知財のいま(仮)」
4. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★ 編集後記


[077-02] 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(73) :節目を迎えて振り返る人生設計の効果・効率・魅力

ヒゲ講師は平成最後の年に5回目の年男になった。いわゆる還暦を迎えることになる。ありがたいことに、あちらこちらでこの記念すべき節目を祝ってくれる計画がある。長らく会えていない人たちとの再会が期待でき、とても楽しみである反面、否が応でも「さて、これから何をするの?」と問いかけられている気分になるから不思議だ。今年の年賀状には、節目の年をどう迎えたらよいか「考え中」です、と書いた。

日々のお仕事を、一つずつ丁寧に「片付けながら」(矛盾している?)、マニュアルシリーズの5冊目にして最終冊の予定である『評価設計マニュアル』を脱稿しなければならない(遅々として進んでいないので、加速する方策を講じる必要がある)。勇退できることは積極的に申し出て、世代交代を図らなければならない(後進に道を譲れたことと功奏しなかったこととが混在している)。

プロジェクトの遅れを取り戻しつつも、次に狙うべき競争的資金のテーマも模索せねばならない(他人のための審査ばかりやっているわけにはいかない)。エチオピアの高地に耐えられるだけの体力増進に役立つ日課を見つけ、長続きする方策を編み出さねばならない(まだ酒をやめることはできそうもないので、その他の方法で)。とりあえず4つもあるので、「考え中」と同時進行で、できることから始めていくことにしよう。

あの頃は良かったなぁ、と思い出にふけるようになったら人生終わりだ、今が最高だと思えるようにしろ、とどこかで聞いた。きっと過去のことがあまりよく思い出せないのは、思い出す頻度が少ないからなのだろう。Everything is for its best.友人から学んだこの言葉からは、何が起きたとしてもそれがベストであったと思うようにすると、落ち込まずに済むことを知った。

例えば、競争的資金をとれなかったのは、今それを獲得すると別のことができなくなるからだ、と思えばその「別のこと」に集中できた。なぜ毎日を生きているのか? アドラー曰く「幸せになるため」。どうしたら幸せになるのか? アドラー曰く「他の人を幸せにすること。そのための能力を身につけること」(本連載62で紹介)。アドラー心理学から学んだこの人生の目的論で、様々な雑念が振り払えるようになり、一本の筋が通った気がした。

さて、次の節目を迎えるまでに、何に出会い、何を学ぶことができるだろうか。それを楽しみに日々のお仕事をしっかり、しかしあまりこねくり回さずに、もっとやりたいと思えることを目指して「片付けて」いくことにしよう(効果・効率・魅力、ですね!)。ヒゲの人生訓はGo with the flow.幸運の女神には前髪しかない、を肝に銘じて、好機を逃さずに決断したいと思う。人付き合いは「来る者は拒まず、去る者は追わず」が基本。人生に節目が来てもこの原則は変わりそうもないが、来ない者と去らない者をどうすればよいか、この問題も解決しそうにない。

読者の皆様も、年頭にあたり、節目の大小にかかわらず、これまでを振り返りこれからを考えてみてはどうでしょうか。人生のIDを語るのも、たまには良いものですね。しらふでは語れないって? じゃぁ一緒に呑みましょう。

(ヒゲ講師記す)


[077-03]【ブックレビュー】『実践知―エキスパートの知性』 金井 壽宏/楠見 孝編 有斐閣

この本の編者である金井壽宏氏は経営学者、楠見 孝は認知心理学者であり、多様な仕事の世界における実践知を踏まえ、それぞれの道において達人になるための熟達化のプロセスを解明し説明しようとするものである。本書では、人が初心者・一人前・中堅者・熟達者になる熟達化のメカニズムについて述べつつ、営業職、管理職、IT技術者、教師、看護師デザイナー、芸舞妓、芸術家等、具体的な職業を取り上げ、その知的な成長について、現場の知の獲得と熟達化の様子を説明している。私が携わってきた看護師教育においても、暗黙知を含む実践知の獲得が、熟達の重要な鍵を握るという点で、本書に興味をもったのである。

本書が例示している職業の中でも特に、看護師と同じく人を相手にする「芸舞妓」の例に興味をもった。その理由は、看護分野がそうであるように、芸舞妓という伝統芸能の分野は、「背中を見て覚えろ」的な、さぞかしKKD(経験と勘と度胸)的な世界であろうと想像したためである。しかし読み進めてみると、実際には実践知を獲得し成長するためのシステマティックな人財育成体制が伝統的に形成されていることに非常に驚いた。その具体を紹介すると、芸舞妓に必要な実践能力である「座持ち」は、(1) 伝統文化産業らしい基礎技能(芸事の技能)(2) 芸舞妓らしい立居振る舞いの上品さ(京言葉等)(3) 即興性(顧客の要望や場に応じて(1) (2)の能力を発揮できる反応のよさ)の3つの要素が求められる。この「座持ち」の能力を身につけるために、年間1000回近くなるお座敷での実践を通じて、置屋のお母さん、先輩であるお姉さん、座敷を調整するお茶屋のお母さんというそれぞれの立場から、日々チェックを受け、さらに指摘した事項が修正されたかどうかフィードバックを受けるという様々な立場、組織と連携されたOJTが日常的に機能している。妹分の育成を任されたお姉さんは、自分がもつ実践知を言語化するという行為を通じて、その知を深化させる。さらにこのOJT機能には、一見さんお断りの中通いの顧客という立場からも、自分が享受するサービスの向上という観点から、芸舞妓の未熟な点を指摘して育てるという体制がある。

以上のような芸舞妓の伝統的な人材育成システムは、ID的要素を十分に押さえていることに驚かされる。IDの第一原理である(1) 現実的な問題(芸舞妓としての実践)(2) 知識の総動員(芸事等の基礎教育での学びを披露)(3) 例示(稽古場やお座敷で他の人の指導・芸を見て学ぶ)(4) 応用(稽古場での練習)(5) 統合(お座敷での披露)というステップを踏み成長する場であり、実践知継承の実践コミュニティだといえる。このように、他分野の実践知の内容や獲得のプロセス、その体制等を知ることによって、自身の分野の体制整備のヒントになるという点で役に立つと感じた。看護分野でも、芸舞妓のお姉さん役割と類似するプリセプターシップ制度等が導入されてはいるものの、十分機能しているとはいえない状況が多々ある。芸舞妓の世界においても、お姉さん役割が妹を育てるのは、時間と責任の負担は多いが金銭的報酬はなく、ともすると自分のライバルを育てることになるというシビアな中でも機能しているという点では、置屋のお母さんとの疑似親子関係や疑似姉妹関係にある人間関係の基盤や、伝統芸能の継承等を含むモチベーション等を考慮した人材育成体制の設計が重要であることに気づかされる。本書は人の熟達化という観点を基盤にしつつ、心理学的観点からのモチベーションや人と人とのコミュニケーションの中での学びとしての人間関係論的な観点の重要性についても触れているという点で、人材育成体制の設計におけるヒントが満載なのである。

(熊本大学大学院教授システム学専攻 博士後期課程 菊内由貴)


[077-04] 【ご案内】第38回まなばナイト 2/9(土)東京「eラーニングと知財のいま(仮)」

第38回 まなばナイトは、4つの”I”を標榜する熊本大学教授システム学専攻にあって、はじめてIPにフォーカスした企画です。

平成もいよいよ終わりを迎えますが、この平成31年1月1日に施行された「著作権法の一部を改正する法律」は、インターネットの普及がもたらした環境の変化への対応という側面はもちろん、それはeラーニングの関係者や教育業界からも大きな関心事でありました。

 著作権法の一部を改正する法律(平成30年法律第30号)について
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/

IPの科目を専攻のスタートからずっと指導くださっている入口先生と、3期生にして現在は愛媛大学にて四国5大学連携事業に関わっていらっしゃる吉田さんに登壇いただき、話題提供もありつつ皆さんそれぞれの著作権との関わりについて考えていきます。

【日時】
 平成31年2月9日(土)
  まなばナイト受付開始:16:30~
  まなばナイト:17:00~19:30

【プログラム】
 詳細はまとまり次第告知サイトにてお知らせいたします。
http://www.manabanight.com/event/manabanight38

【会場】
富士通ラーニングメディア「CO☆PIT」 品川インターシティフロントビル6階
 https://www.knowledgewing.com/kw/copit/index.html
 ※以前開催していたB棟から、駅に近いフロントビルに移転しています。

【定員】 専用フォームからの申込み先着20名様
※定員に達した段階で申し込みを締め切らせて頂きます。

【参加費用】
 今回は、ワンコイン500円での開催です。おつまみお茶菓子をご用意いたします。
 ※当日現金でお支払い願います。
 アルコール等ドリンク類につきましては、BYOD(Bring Your Own Drink)持ち込みで行います。現地販売も予定しておりますが、寄贈も歓迎いたします。

(まなばナイト実行委員・熊本大学大学院教授システム学専攻同窓生 加地正典)


[077-05]【イベント】その他、近々行われるイベントは? 2019/1~2019/3

2019/01/12(土)
教育システム情報学会研究会「新技術と教育情報を活用した教育学習環境の設計/一般」@こらっせ福島
2019/03/09(土)
日本教育工学会研究会「ICT を用いた学習環境の構築/一般」@福井大学


[077-06]★ 編集後記

★ 編集後記
新年が始まりました。みなさんは今年の抱負について考えたりしましたか。新年号をはじめ変化が予想される中、これまでのまとめをしてから次に向かいたいなと思っているものの、なかなか・・・。
(第77号編集担当:根本淳子)

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ご意見・ご感想・叱咤激励など常時お待ちしております!
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編 集 編集長:鈴木 克明
ID マガジン編集委員:根本淳子・市川尚・高橋暁子・石田百合子・竹岡篤永・仲道雅輝・桑原千幸
発 行 熊本大学大学院社会文化科学研究科  教授システム学専攻同窓会
http://www.gsis.jp/
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・eラーニング概論