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[最新]IDマガジン第83号(2019/12/7発行)

[083-01]IDマガジン第83号

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2019年12月7日━━━━
<Vol.0083> IDマガジン 第83号
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皆様、いつもIDマガジンのご愛読ありがとうございます。
師走の季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
今回も、どうぞ最後までお付き合いくださいませ。

今回のコンテンツメニューはこちら↓
《 Contents 》
1. 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(78):健康第一を痛感する還暦終了間際の師走
2. 【ブックレビュー】『情報リテラシーのための図書館』根本彰著 みすず書房(2017)
3. 【報告】第42回まなばナイト「使ってますよ、ID!~IDの実践をとおして現場で何が変わったのか、何が変わらないか~」
4. 【ご案内】第43回まなばナイト 12/14(土)東京「イノベーションを読み解く授業を実体験しよう!」~ITの進化の根源を参加者とともに探る模擬授業~
5. 【イベント】その他、近々行われるイベントは?
★ 編集後記


[083-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(78):健康第一を痛感する還暦終了間際の師走

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【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(78) : 健康第一を痛感する還暦終了間際の師走
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ヒゲ講師はここ1ケ月ほど体調不良が断続的に続く毎日を送っている。ことの発端は、寒くなる冬に向けての季節の変わり目に体調管理がしっかりできなかったこと(だと思う)。寒暖差が激しい季節にも関わらず、東西方向だけでなく南北方向の移動も多かった。その中、大腸検査の準備で下剤を飲みつつ高熱に耐えた(せっかく確保した検査日程を再調整するわけにもいかない、という思いだけでしたが、そういう無理をするのが悪い、とは自覚しています・・・)。その結果として体調不良が長期化し、会議の議長を代行してもらったり、出席するはずの会合もあきらめざるをえなかったりと、周りの多くの方々に迷惑が及んだ。
この場を借りてお詫びするとともに、読者の皆様のご自愛をお祈りしたい。健康第一ですね、やっぱり。

考えてみると、毎年冬場になると体調不良になり、それが長期化して、迷惑が及ぶ事態がここ数年、続いている。何とかこのルーチンを脱却しなければならない。運動して体力をつけて、耐性アップするのが良いのだろうが、妙案が浮かばない。ヒゲ講師の活動範囲にはいつでも医療関係者がたくさんいるので安心は安心だが、一度まじめに相談してみるのが良いかもしれませんね。何か良い知恵があったら是非ご教示ください。

少し良くなって、大丈夫だと思って、結果的に無理をしてしまう。それが長期化の原因なのだろうが、全部ヤメにするという訳にもいかない。この忙しい師走には、まだまだやることがたくさんある。レポートのチェック、原稿のチェック、学会誌の査読、国際会議での招待講演、研究会や研修会でのコメンテータなど、仕事自体は楽しいが、体調不良のときに納得ができるクオリティで続けるのはしんどいですね。さらに、楽しみにしている面々との会合も目白押しだ。名古屋、熊本、那覇、東京、大阪、岡山、そしてまた東京。何とか体調を維持し、何とか落ち込まずに気分も維持し、明日の活力を得るためにもしっかり活動していこうと思う。

以上、還暦終了間際の師走の健康宣言でした。
(ヒゲ講師記す)


[083-03]ブックレビュー:『情報リテラシーのための図書館』根本彰著 みすず書房(2017)

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【ブックレビュー】
『情報リテラシーのための図書館』根本彰著 みすず書房(2017)
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 図書館を「情報リテラシーを推進するための装置」と表現して、図書館情報学を専門とする著書が情報リテラシーの概念を解説している書です。『図書館――愛書家の楽園』の「夜の図書館」の紹介から始まり、著者が1枚の複製画の色調を確認した挿話やアニメ『耳をすませば』、『図書館戦争』などを織り交ぜて易しく展開されています。
 タイトルにある「情報リテラシー」の定義が2~3章で述べられ、世界的に使われているアメリカ図書館協会(ACRL)の「高等教育のための情報リテラシー能力基準」の定義に基づくとしています。そして、国際的には情報コンテンツへのアクセスを中心に情報リテラシーを捉えられている、一方日本ではIT機器操作スキル中心に捉えていることが具体例を示して解説されています。
 リテラシーは読む行為と密接に関係するとして4~5章では、リテラシーが世界一の水準にあった江戸期まで遡って日本における学びや読書について述べられています。まず、武士の学びの場であった藩校と庶民の寺子屋での学び方が述べられています。ここでは、教授者が特定の書の講義をした後に、学習者が円座を組み順番にその書を音読する輪読、講義の内容に関して学習者同士が質問応答方式で理解を確認しあう会読と呼ばれる江戸時代の特徴的な学び方が紹介されています。さらに、身分も年齢も超えた相互集団的な学びであり、江戸期の教育が極めて自由奔放で効果的であったとも述べられています。
 また、「江戸時代の学びは、書くことに依って読めるようになり、声に出して読み、さらにそれをもとに検討するところまで行うものであり、基本的にはオーラルな方法に基づいている。」と述べ、明治以降の学校教育では、音読は初等教育のみであり、やがて黙読に移ることを学習目標とするように対照的であるとしています。くわえて、貸本業,大名文庫など図書館が萌芽し始めていたことも示しています。
 明治以降の図書館について第5章で述べられています。近代化が推し進められ、義務教育制度により特定の教科書に依った学びとなり、さらにリテラシーは高まったと述べられています。しかし、教育の目的や方法が限定され、情報コンテンツへのアクセスが著しく制限されたことに言及して、学校教育が優先され図書館の整備は蔑ろにされてきたことも示されています。
 6~8章では、専門職としての図書館員の配置が現在でも十分でないこと、および教育制度改革の動きに関連付けて情報リテラシー教育を担う図書館の意義が主張されています。
 全体として、情報リテラシーの認知プロセスは「事実→情報→理解→知識→知恵」であると述べ、この認知プロセスを学習者自身で鍛えなければ学びを深めることができないと述べられています。そのため、情報リテラシーを体得する必然性が示されています。併せて、図書館のハードとソフトの充実の重要性が述べられています。
ACRLの情報リテラシー概念の理解を手助けできる書と思います。
(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士11期修了生 峰内 暁世 )


[083-04]【報告】第42回まなばナイト(大阪)

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【報告】第42回まなばナイト(大阪)
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第42回まなばナイトレポート
「使ってますよ、ID!~IDの実践をとおして現場で何が変わったのか、何が変わらないか~」

第42回まなばナイトは、IDの実践をテーマに大阪で開催されました。
今回のスピーカーは、10期修了生の三宮さん、10期修了生(後期博士課程在学中)の政岡さん、9期修了生(後期博士課程在学中)の中前さん、平岡先生でした。

スピーカーのほとんどの方が医療関係者ということもあり、在学生のみならずIDに興味のある医療関係者の方の参加が多く見受けられました。
僭越ながら13期生の増永が感想をお伝えさせていただきます。私は、静岡の大学病院に勤務する中堅看護師であり、今回のまなばナイトは、修了された医療関係の諸先輩の実践的な取り組みを聞きたく大阪まで足を運びました。

10期生修了生:三宮さん
三宮さんは、看護学部の基礎看護学分野の教員であり、IDと看護学部の学生さんの学習支援についてお話をされました。基礎看護学とは、その名の通り、看護の基礎を学ぶ分野です。

ここで三宮さんは、いつもメーガーの3つの質問を念頭に授業設計をされているようです。学生がどうなることを期待しているのか、この授業のゴールは何かを、大事にし、一方向型の講義の方法ではなく、体験型のワークをとおして授業設計、実践していることを話してくださいました。この取り組みにより、学生の学習が変わってきていると感じているようです。

 三宮さんは、修了してフィールドや役割が変わり、授業の設計や実践に苦慮したとのことでしたが、IDの理論やモデルを活用し、職場の方々とより良い教育を目指しているようです。今後は、「教育実践の評価」を適切にし、未だ変えられていない学習上の課題を解決していく必要があるとのことでした。

臨床の現場にいる私自身、基礎教育である学校教育と臨床の間には、学生担当や新人教育を行う時に大きな乖離があると感じます。ゴールの設定をどこにするのか、基礎教育がここまでできれば、臨床ではさらなる発展ができるというように、基礎教育と臨床でのコンセンサスが必要であると思いました。

10期修了生(後期博士課程在学中)の政岡さん
政岡さんは、臨床の看護師であり、集中治療のエキスパートである集中ケア認定看護師という立場でこれまでに臨床の教育で実践された内容についてお話をしてくださいました。

政岡さんがフィールドとしていた部署では、様々な経験値のスタッフの教育に従来のKKDでの教育が行われており、そこに政岡さんは、IDの知見を駆使され、経験年数の浅いスタッフでも重症患者を担当することができるようにチェックリストを開発され教育をされたそうです。その結果、経験の浅い看護師でも重症患者を担当できるようになった、ということです。また、IDを用いた教育の効果として、後進の育成を行うことができ全体像のボトムアップに繋がったそうです。

私が働く部署も政岡さんがフィールドとされていた部署同様スタッフ層やKKDの教育といった共通点が多くあります。政岡さんは認定看護師として院外にもIDの知見を広められています。私はいちスタッフですので同様の境遇として政岡さんのノウハウとこれまでのGSISの学びを取り入れ、これからも自部署や自身が担っている研修から少しずつ教育の改善を行なっていきたいと思いました。

9期修了生(後期博士課程在学中)の中前さん
中前さんは、臨床検査学科の教員です。検査学科の教員で検査分野ではまだIDという考え方がまだあまり知られていないようです。

中前さんは、GSISでの様々な知見を生かしながら授業設計を行われ、アクティブラーニングを実践されています。講義と期末試験をやめたいという意気込みを持ち、学習者の行動変容が明確となる評価方法を試行錯誤しながら日々奮闘されているとのことでした。また、周囲に同志を作るために、はじめてやる授業設計などは自ら手を積極的にあげ、最初の「原案」を作成しその中にIDのエッセンスを取り入れながら、中前さんいわく、密かなIDの布教活動を行っているとのことでした。

この日々の奮闘の結果、変わったことは学生さん側の授業に対する満足度の向上です。これまでは、「何を教えたのか?」を視点に学習を組み立てていたことが「何ができるようになって欲しいか」という学習者の視点で設計をするようになったという変化があったとのことでした。まだまだ、変わらないことは、学生さんの行動変容とその評価についてで、今後も研究の課題だそうです。

平岡先生
平岡先生は、3人のスピーカーの方とは少し視点をかえ、実践ではなく、外部から実践をサポートする側の立ち位置を先生ならではの切り口でお話をされました。ある企業の研修担当者から新人研修についてIDを取り入れたいという相談を受け、ボランティアの立場で介入した際のお話でした。

結論から言えば、これまでのやり方(旧式)に慣れている人は、新たなやり方(新式)を取り入れる場合、大幅変更することの抵抗の強さがあり面倒な壁となってしまう。そのため、外部から介入する場合の教訓として①IDのスキルを持つ仲介者(リエゾン)を中に設定し、人的環境整備を整える②具体的な提案をする③上長をまきこんでおだてる④新式を相手にするということを述べられました。私は、外部から介入する場合のみならず、様々な面でこの教訓はあてはまるのではないかと思います。
 
 4人のスピーカーのお話の後に、グループワークを行いました。グループワークでは、「缶詰の新人の集合研修の評価について、現状が問題と思っていない人にどう介入すればよいのか」「医療業界でIDを学ぶ人が多いのは?」「ID使ってみたいけど、どう介入したらよいかわからない」といった現在の教育をなんとか変えたいという趣旨の質問が寄せられました。

 研修で何を習得してもらいたいのかという明確な目標設定、それに沿った評価方法が必要であることや、これまでの医療教育というのがいけてないという危機感があるからIDを学ぶ人が増えているという意見がありました。また、IDをもっと広めるには、トップダウンも必要ではないかという意見も聞かれました。

 確かに上長が変われば方針が変わり、白いものを上長が黒といえば黒(IDが良いと言えばIDとなると思います)・・・といった社会の風潮があります。航空業界も国土交通省航空局からパイロット育成にIDを用いるという方針により、IDの需要が高まりました。よって、GSISを卒業された医療関係のお偉い方々がもっと偉くなればIDを用いた医療業界の教育転換も遠くはない未来だと思います。

 クロージングに鈴木先生からGSISの魅力についてお話がされました。GSISに入学してくる人は若い人ではなくよりも熟年者である。各自のフィールドでそれなりの立場であることから修了してから数年で成果を出すことができている。このように日々の実践を報告する会が刺激になりネットワークも拡大していくとのことでした。また、無料版の「教育改善スキル修得オンラインプログラム」について案内をされ、IDの深い世界へ誘われました。

 先輩方や先生のお話を聞いて感じたことは、コツコツと奮闘し仲間をつくりながら成果を出していくということが重要であると思いました。先輩方のように成果が出せるように、修了に向かって頑張りたいと思います。

(熊本大学大学院教授システム学専攻 増永 恵子)


[083-05]【ご案内】第43回まなばナイト(東京)

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【ご案内】第43回まなばナイト(東京)
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第43回 まなばナイト@東京
テーマ:「イノベーションを読み解く授業を実体験しよう!」
      ~ITの進化の根源を参加者とともに探る模擬授業~
日時:2019年12月14日(土)
まなばナイト受付開始:16:30~
  入科個別相談会:16:30~17:00
  まなばナイト:17:00~19:30
  大忘年会:19:45~
場所:ビジネス・ブレークスル-大学 麹町校舎 麹町スクエア1階
(東京都千代田区二番町3番地)
参加費:無料
ITの急速な進化が社会に与える影響は計り知れないほど大きくなっています。今回は,このようなITの進化が引き起こすイノベーションのメカニズムを、講演者の大学での授業実践をベースにした模擬授業形式で、みなさんとディスカッションしながら、考えていきたいと思います。
 この授業実践では、イノベーションの実例を、学習者の既有知識と対象領域分野の理論をもとに、他学習者の考えも取り入れながら読み解いていく、という構成主義的な授業設計を行っています。
 そのような授業設計を体験していただくとともに、大学での授業評価、実践の着想や研究論文化の際の裏話なども時間が許す限りご紹介します。
(続きは→http://www.manabanight.com/event/manabanight43)

プログラム:
— オープニング —
熊本大学教授システム学研究センター センター長 鈴木克明教授
— セッション1 —
スピーカーからの話題提供(変更になる場合があります)
話題提供
 仲林 清
  千葉工業大学情報科学部情報ネットワーク学科教授
  熊本大学教授システム学専攻客員教授
  教育システム情報学会(JSiSE)理事
  日本eラーニングコンソシアム副会長
— セッション2 —
 グループにわかれてディスカッションを行います。
— クロージング —
熊本大学教授システム学研究センター センター長 鈴木克明教授

詳細、申し込みフォームは下記ご確認ください。
 http://www.manabanight.com/event/manabanight43
問い合わせ先:
 まなばナイト事務局  info@manabanight.com

最寄駅からの交通案内
  東京メトロ有楽町線「麹町」駅 5番出口 徒歩約1分
  東京メトロ半蔵門線「半蔵門」駅 5番出口 徒歩約7分
  JR中央線・総武線「四ツ谷」駅 徒歩約8分
  東京メトロ丸ノ内線・南北線「四ツ谷」駅 3 番 ( 四ツ谷口 ) 出口 徒歩約 10 分
  JR 総武線、東京メトロ有楽町線・南北線・都営新宿線「市ヶ谷」駅 3 番出口 徒歩約 8 分
 https://bbt.ac/accessmap/


[083-06]イベント:その他、近々行われるイベントは? 2019/12~2020/01

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【イベント】その他、近々行われるイベントは? 2019/12~2020/01
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2019/12/14(土)
日本教育工学会研究会「情報モラル教育の実践/一般」@東洋英和女学院大学
2019/12/14(土)
第43回 まなばナイト@東京「イノベーションを読み解く授業を実体験しよう!」~ITの進化の根源を参加者とともに探る模擬授業~
2020/1/12(日)
教育システム情報学会研究会「新技術と教育情報を活用した教育学習環境の設計/一般」@山口大学吉田キャンパス
2020/1/26(日)
日本教育メディア学会2019年度第2回研究会「情報活用能力(プログラミング、情報モラル等を含む)指導における教育メディアの活用・教材開発/一般」@和歌山大学教育学部附属小学校(オレンジルーム)


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