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[037-03]【特集】パフォーマンス・コンサルティング(3)パフォーマンス・コンサルティングの主要モデル

今回はパフォーマンス・コンサルティング(以下PC)の主要モデルをみていきましょう。PCのモデルはいくつかありますが、代表的なものは、ニーズの階層構造、ギャップ解消モデル、GAPS!マップの3つです。ここではこの3つのモデルの概要、活用する場面、メリットについて述べようと思います。とはいえ、本来は図解すべきものなので、以下の説明ではイメージしづらいところがあると思います。合わせて、拙訳『パフォーマンス・コンサルティングⅡ』2010年をご参照いただけますと幸いです。

モデル1:ニーズの階層構造
これはクライアント(経営幹部)のニーズを把握するときに使います。
具体的には、クライアント(経営幹部)のニーズを以下の4つに分け、重箱構造で整理しています([1]>[2]>[3]・[4])。[1]事業ニーズ(目指す事業目標、業績)
[2]パフォーマンスニーズ(事業目標の達成にカギとなる従業員の実務行動)[3]職場環境ニーズ(事業目標達成のカギとなるパフォーマンスを阻害・促進する
組織要因)
[4]能力ニーズ(カギとなるパフォーマンスを阻害・促進する知識・スキル・特性)

たとえば、クライアントが研修([4]能力ニーズの解決策)の相談に来たきに、このモデルを頭に思い浮かべながら話を聞くと、クライアントが最終的に望んでいる「成果」=([1]事業の業績と[2]従業員のパフォーマンスの変化)を見失わずにすみます。もっと言えば、「クライアントの本当のニーズは何か」がわかりやすくなるということです。

モデル2:ギャップ解消モデル
これは従業員のパフォーマンスが低いときに、その原因を分析するときに使います。このモデルは、従業員のパフォーマンスを促進・阻害する要因を以下のように分け、三脚いすのイメージで図解したものです。

[1]組織の外部要因:景気、規制、他社との競争など
[2]職場環境要因:1)役割や期待のわかりやすさ、2)コーチングや強化、
3)インセンティブ、4)業務のシステムやプロセス、5)業務に必要な情報・人材・ツール・ジョブエイド
[3]個人の内的要因:1)スキル・知識、2)固有能力

前号で述べたように、PCでは、職場の従業員のパフォーマンスは、これら多くの要因がシステムとして絡み合った結果と考えます。このモデルは、パフォーマンスを低下させている本当の原因をみつけていく手掛かりになります。

たとえば、第1回の記事でみた「営業本部長から『若手の提案書はひどい。提案スキルを高める研修をしてほしい』という要望があった」という例で考えましょう。このモデルをあてはめれば、「若手のスキル」以外に職場の5つの要因はどうなのか、とすぐに幅広い視点で検討できるわけです。つまり、「何でも研修」といった、間違った解決策の選択を防ぐことができるのです。

モデル3:GAPS!マップ
これはクライアントからヒアリングした内容を整理するとき、パフォーマンス現状分析の結果、わかったことを報告するときに使います。基本構造は、縦にみると「あるべき姿~現状~ギャップの原因~適切な解決策」となっています。横にみると、左右で二分され、左側に「事業」、右側に「パフォーマンス」にかかわることを書き込む構造になっています。

お察しのいい方はおわかりだと思いますが、「ギャップの原因」のところに上記の「ギャップ解消モデル」の内容が入るわけです。このGAPS!マップは、PCの特徴がすべて詰まった、実務家にとって非常に有効なツールです。

たとえば、上述の第1回の例でいえば、営業本部長は「若手の提案書はひどい」という「パフォーマンスの現状」と「提案スキルを高める研修」という解決策しか言っていません。「事業のあるべき姿と現状」「パフォーマンスのあるべき姿」「それらのギャップを生じさせている原因」については、まるで情報がありません。つまり、Should-Is-Causeのうち、Isの一部の情報だけで研修を依頼しているのです。

このように、このモデルを使うと、クライアントの要求しているソリューションの妥当性がわかり、今後さらに何を調べればよいのかもわかるということです。

余談ですが、弊社のワークショップでは、自社の状況をGAPS!マップに整理していただいていますが、みなさんこのツールの有用性を評価されています。

次号では、今回述べたパフォーマンス・コンサルティングの主要モデルの背景にあるISDとHPTについてみていこうと思います。

(株式会社ヒューマンパフォーマンス 鹿野尚登)
http://www.human-performance.co.jp■パフォーマンス・コンサルティング・ワークショップ:
http://www.human-performance.co.jp/article/13478992.html


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