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[039-03] 【特集】パフォーマンス・コンサルティング(5)パフォーマンス・コンサルティングの背景・・・HPTの先人たちの言葉

今回はHPTの先人たちの言葉をみていきましょう。おそらくパフォーマンス・コンサルティングのベースにあるHPTの考え方がよくわかると思います。

まず、HPTのグルの一人T・ギルバート(Thomas F. Gilbert)の言葉からみていきましょう。ギルバートは、条件が整えば、ほとんどの人は有能な人材レベルの成果をあげることができると信じ、そのための理論と方法論を追究した人です。

著書 Human Competence: Engineering Worthy Performance(1978)は、今でもHPTの古典として読み継がれています。このサブタイトルにあるように、当時はパフォーマンスをエンジニアリングすると言い方だったようです。

ギルバートはパフォーマンスを以下のように定義し、行動そのものより成果に注目することの重要性を指摘しました。また、実用的な定理やモデル(Behavior Engineering Modelなど)をいくつも提案しています。

パフォーマンス = 行動  → 成果
Performance    Behavior Accomplishment

以下はHPTの考え方(当シリーズ第2回、第3回記事参照)が感じられるところを上記文献から独断と偏見で抜粋しています。原文の文脈を考慮した順番ではありません。

「パフォーマンスをエンジニアリングしようとするときは、経済的な価値を念頭に置いて考えるべきだ。ある実務行動の結果を重要だと思わないのであれば、つまり、その成果に経済的な価値がないと思うのであれば、何らかの改善をするために研修をしてはいけない」

「パフォーマンスエンジニアにとって、問題は次のことだ――どこに最大のテコがあるのか?どうすれば最小コストで最大の効果をあげられるのか?」

「パフォーマンスが低いときの原因として、やる気(関心がない)と能力(頭がわるい)がよく言われる。しかし、多くの場合、このふたつのことは能力が発揮されていない原因として見るべき最後の要因である。というのは、このふたつが本当の問題であることは稀だからだ」

「まず、職場環境要因をみる。というのは、実行する上でほとんどコストのかからないとても効果的な方策がよく見つかるからだ」

続いて、Performance Consultingの著者ロビンソン夫妻が師匠と仰ぐ、G.ラムラー(Geary A. Rummler)の言葉をみていきましょう。ギルバートとラムラーは70年代一緒に働いていたようです。

ラムラーは、著書Improving Performance(1995)の中で、パフォーマンス(成果業績にやや重点があります)を組織レベル、プロセスレベル、職務・パフォーマーレベルの3つのレベルでとらえ、それぞれのレベルでパフォーマンスに影響する主な要因をシステムとして図解しています。その中でもヒューマン・パフォーマンス・システム(Human Performance System)が最も有名です。こちらも独断と偏見で抜粋します。

「『組織をシステムとしてとらえる』モデルは役に立つと思っている。というのは、組織をシステムとしてとらえることで、我々もクライアントもパフォーマンスに影響を及ぼしている様々な要因を正しく理解し、調整できるからだ。そうすることで、パフォーマンスは継続的に改善される」

「優秀な人材が問題のあるシステムに挑んだ場合、問題のあるシステムに軍配があがるのが常である。我々は問題のないパフォーマーを何とかしようと多くの時間を割き、問題のあるシステムの改善に十分な時間をかけていない」

「トレーニングの依頼に対応するときに、HRDの専門家は次のことを自覚しなければならない。トレーニングを依頼してきた人は、おそらく徹底的に現状分析をしていないし、ほとんどの場合、パフォーマンス改善施策として、研修の限界がわかっていない」

「HRDはパフォーマンス改善という仕事をしている、というのが我々の基本的な前提だ。どんなものであれ、HRDのインターベンションを計画し、実施するときに問うべきことは、この施策は事業成果にどのような影響を及ぼすのか、ということだ」

ラムラーは人のパフォーマンスに影響を与える要因として、個人の能力やスキルよりも職場のシステムやプロセスの方が、影響力が強いことを指摘しています。
研修から発想しがちな傾向を戒める言葉がいくつもあります。以下のサイトで生前の姿が窺えます。
http://www.youtube.com/watch?v=EmV9WEsg7ns

以上、ふたりの断片的な言葉ではありますが、HPT原則でうたっている「成果重視」、「システム視点」、「価値貢献」につながる基本的な考え方が感じられると思います。

次回はパフォーマンス・コンサルティングの現在についてふれようと思います。

(株式会社ヒューマンパフォーマンス 鹿野尚登)
http://www.human-performance.co.jp
パフォーマンス・コンサルティング・ワークショップ
http://www.human-performance.co.jp/article/13478992.html


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