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[071-02] 【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(67) ~正月らしくない正月~

ヒゲ講師は、この年末年始をまったく正月らしくない場所で過ごしていた。その場所はアジスアベバ。東アフリカにあるエチオピアの首都だ。アフリカだから正月らしくない、ということではない。エチオピア暦の正月は西暦の9月に来るので、1月1日さえも休日ではなく、普通に勤務した。

エチオピア人の多くはクリスチャンだが、クリスマスは2018年1月7日の日曜日だという。クリスマスには羊か鶏を生きたまま丸ごと購入して、家族みんなで当日さばいたばかりの料理を食べるのが習慣だという。確かにショッピングでにぎわい渋滞だらけの金曜日には、地方から羊の群れを連れて売りに来ている行商人をあちこちで目撃した。「クリスマスの翌日にはさばかれた羊の皮が無造作に道端に積み上げられて売られているんですよ」という解説があったが、どんな感じになるのかイメージがつかないまま、帰路についた。

なぜヒゲ講師はエチオピアへ? 拙著『研修設計マニュアル』に出会った人に、ぜひ参加してくれと請われたから。JICAのプロジェクトには、これまでもいろんな国でかかわってきたが、アフリカへは初めてのお誘い。8月にはあと2年間はネパールに行くのに、さらにエチオピアに? それも年2回ずつ3年間も約束してしまうのか?

まぁ断りにくかったんですね、いろんな意味で。アフリカのプロジェクトは初めてだったし、本に惚れたと言われれば、これも断りにくい。今までは弟子筋のアレンジだったけど、今回は初対面の飛び込み依頼。ヒゲもそろそろ独り立ちできるかもしれない、という期待もあった。インターネット型大学院勤務のメリットも享受し、休暇扱いにはならない、という確認も取れた。まぁ行くしかないでしょう、という結論に至ったわけです。

留守中、迷惑をかけている方々に、この場で「ごめんなさい」と言わせてください。わがままな私を許してください。まぁ、ほとんどの人にはメールがどこから飛んできているかは識別できないでしょうから、「え、アフリカにいたんですか?」という感覚でしょうけれど・・・。

ここでのお仕事は「エチオピア国水技術機構(EWTI)研修運営管理能力強化プロジェクト」の短期派遣専門家(カリキュラム・研修教材開発担当)。地下水調査や掘削技術、機械・電気整備などの各技術分野の専門家とともに、政府が再構築したEWTIの技術研修担当者にIDの基礎を教えるというのが期待されている役割。ネパールのプロジェクトは地方公務員向け研修設計なので、こちらでは実機を動かして水を確保するという実技が重視される点が大きく異なる。でも、研修の設計という点では大差ない。同じ時期に異なる内容領域での仕事が並行してできるのも何かのご縁ですから、まぁ何ができるかやってみましょう、ということで来たわけです。

来てみて分かったことは、「伸びしろ」がかなりある、という現状。今回2日間のワークショップを2回行ったが、紹介するIDは、効果・効率・魅力を目指す点とメーガーとガニェの9事象5分類に絞ることにした。あまりたくさん注入しても消化不良を起こしそう、というのがネパールでの教訓だったことも早速活かした(連載65を参照ください)。研修中にやることを9教授事象に並べ替えたり研修目標を5分類に分けたりするカードゲームを考案して、手を動かす練習も取り入れた。
機械を動かす仕事をしている人だし、暗記中心の初等教育を受けてきた人たちだから、そうしないと応用力は身につかないだろうと思ったから。

基礎を確認したあとは、「さて次の研修を実施するときには、これまでと何をどう変えますか?」という担当コースごとのグループ作業に進んでもらった。ここで何を学んでも研修が同じじゃぁ時間の無駄ですよ、という行動変容(態度)を強調し、次の研修まで・研修中・研修後・ヒゲが戻ってくる4月までの4段階のアクションプランを策定してもらいワークショップは終わった。次に来るのが楽しみになったので、まぁ成功と言っていいでしょう。ワークショップでは毎日、省察シートという名前のスマイルシート+確認問題を行い、成果を確認し、不足分を翌日に補った。この手法もぜひ取り入れてね、というメッセージも忘れずに伝えた(現状では評価がかなり弱い、ということ)。さてどうなることでしょうかねぇ。

次のお題は、研修カリキュラムの再設計。教育省が管轄する職業訓練校ではエチオピア職業標準(EOS)に基づいて5段階でのコンピテンシー準拠型教育への転換が2010年から開始され、その教育を担当できる教員になるための要件や研修(TOT)、さらにはコンピテンシー準拠試験を担当するアセッサー向け研修も整備されているという。それを横目で見ながら、各技術分野の専門家と一緒に研修カリキュラムを点検し、コンピテンシー準拠型の研修に組み替えていくための提案をまとめていく(それができていないから評価が弱いという現状があるわけです)。マイクロ設計からマクロ設計へプロジェクトを展開していこう、というわけで、次も楽しくなりそうです。

問題が唯一あるとすれば、アジスアベバが標高2400メートルの高地にあるという点。空気が薄いためかどうも眠りも浅い(たぶん)。冬は乾季で昼夜の寒暖差が20度もあるが、暑くて仕方ないということにはならない(ホテルには冷房もないし、長そで長ズボンは必須アイテム)。埃っぽいので喘息が気になったが、その問題はなかった。あとは血圧かな。そもそもここで血圧計がちゃんと作動しているのかどうか、そこから確かめなければならないと思う。帰路にドバイで1泊するが、そこでの眠りの深さを確認してから、対策を立てることにします。

(ヒゲ講師記す)


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