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[087-02]【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(81):with新型コロナの「ニューノーマル」をデザインする

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【連載】ヒゲ講師のID活動日誌(81):with新型コロナの「ニューノーマル」をデザインする
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ようやく全国で非常事態宣言が解除された。宮城県ではコロナでの入院患者が2か月ぶりにゼロになったと昨晩報道された(あんたはいったいどこにいるの、と突っ込まれそうだが、それはあえて口にしない)。一方で、第2波、第3波に備える必要があると言う。医療関係者の多くが、そしてそれ以外の職種でも、あるいは幼き命を守る家庭でも、まだ混迷の最中で懸命にいる人たちにも心を寄せ、withコロナの時代の「ニューノーマル」をみんなでデザインしていくことが求められている。

この間、我がインターネット型大学院は平常営業であったが、ヒゲにはいろいろあった。国立情報学研究所が毎週金曜日に行っているサイバーシンポジウム(第4回)に登壇して「無理はしないで同じ形を目指さないこと:平時に戻るまでの遠隔授業のデザイン」を語るチャンスをいただいた(資料と音声記録はアーカイブされているhttps://www.nii.ac.jp/event/other/decs/)。それを契機に雑誌のインタビューも受けて記事になった。NHKからの取材も受けて、それがニュースウォッチ9で放送された。放送は予定より一日延期され、しかも当日横入りした関連ニュースの影響で、あまりにもあっけない登場であったことが(?)一部で話題を呼んだ。何が割愛されたかは、NHKの映像アーカイブとWebニュース記事を見比べてもらえれば読み取れる。いずれにせよ、有事の対応では無理をせず、出来ることをやって、しかしこれをチャンスとして「ニューノーマル」に備えることが肝要である、という応援メッセージを送りたかった。

「ニューノーマル」とは、withコロナ時代の新しい常識を指す。ヒゲは、この言葉を、Facebook経由で、マーケティングの巨匠コトラー教授の緊急寄稿「新型コロナ、ニューノーマルつくる契機に」(日経ビジネス)を読んで知った。コトラー曰く、

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新型コロナウイルスの感染拡大を前にして「自分たちの元の生活に戻りたい」と思っている。しかし、振り返ってみれば多くの人々にとって、その生活がそれほど良いものだったかといえば、実は必ずしもそうではなかった。多くの人々は貧しかったし、おなかをすかせていたし、そして何よりも働きすぎていた。
私たちは今回の出来事をきっかけにして、いろいろなことを変えていくことになるだろう。そして、ここから多くの人々が充実し満足する生活ができる機会が得られる「ニューノーマル」をつくっていくべきだ。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/041600098/
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これを教育研修の現場に言い換えてみよう。「コロナ前の教育研修がそれほど良いものだったかと言えば、実は必ずしもそうではなかった。多くの教育研修はちゃんとデザインされていなかったし、効果的でも魅力的でもなかったし、そして何よりも無駄が多すぎた」ということか。対面で集合していることが抱かせてきた「ちゃんと教育をやっている」という幻想と「対面が当たり前」という思い込みがあった。他方で、集まらなくてもオンラインでそこそこできるし、受講者はむしろそれを歓迎しているという新しい現実が突き付けられた。「自分たちの元の授業や研修に戻りたい」では済まなくなった今、「いろいろなことを変えていく」ことで「ニューノーマル」をデザインしていくことが求められている。IDにとって、こんなチャンスはめったにない好機であることは、間違いないですね。

有事に付け込んでIDを喧伝することははばかられたとしても、有事が一段落し、「ニューノーマル」をデザインすることが少し落ち着いてできるようになった今こそ、IDの蓄積をより多くの人々に知ってもらう努力を傾けるべき時だろう。変化を受け入れる土壌がある今こそ、何ができるか、何をすべきかを具体的に考え、少しずつ実行に移していこうではないか。ここから多くの人々が充実し満足する教育研修ができる機会が得られる「ニューノーマル」を目指していこう。

これまでも細々と続けてきた「教育改善スキル修得オンラインプログラム」の科目デザイン編が完成し、無料版公開に加えて「履修証明制度」のもとで展開する有料版セミナーも開始した。その続編「自律学習支援編」も少しずつ公開を始めている(https://kyoten1.cica.jp/)。将来を担う大学教員を主たるターゲットとしているプログラムではあるが、我々が考える「ニューノーマル」を覗きに来てもらえれば嬉しい。

IDの巨匠ライゲルースが考えるニューノーマル『学習者中心の教育を実現するインストラクショナルデザインの理論とモデル』(いわゆるグリーンブック第4巻)の日本語版も近々発刊される。どうぞご期待ください。

(ヒゲ講師記す)


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