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[059-03]【ブックレビュー】『エッセンシャル思考』グレッグ・マキューン著/高橋璃子訳

「エッセンシャル」を説くだけあって、内容の本質にぶれがない。言いたいことは、「自
分の持てる資源を本質に集中せよ。さらば、最大の果実を収穫することができる。」とま
あ、そんなところになるでしょうか。大手オンラインショッピングサイトのレビュー欄に
は、「仕事や生き方の参考になります」という類いのことばがあふれているのですが、ID
マガジンの読者なら、これを教材作成、教育カリキュラム・プログラム、そして、学習プ
ランなどに役立てることができるのではないかと思います。

例えば、教育プログラムを考えているとき、ついつい、あれもこれもと欲張りな目標を盛
り込んでしまうことはないでしょうか。いやそれではいけないと、挙げた目標を減らす場
合、よりどころとなるのは、その教育プログラムで達成したい本質的なこと、ということ
になるのではないかと思います。本質は、だからといって、抽象ではありません。この本
での本質目標は、「具体的かつ魅力的」「意味があり心に残る」とされています。IDに通
じるとこと大な捉え方だと感じました。

各章にちりばめられた「非エッセンシャル思考/エッセンシャル思考」の対比もID的に参
考になると思いました。例えば、非エッセンシャル思考は「選ぶ余地がない」。それに対
応するエッセンシャル思考は「自分で選び取る」。なるほど。学習者に自ら選び取らせる
工夫は、本質に集中させるためにも効果がありそうだ、と気付かされます。「良くするこ
とは、何かをつけ加えること/良くすることは、何かを削ること」という対比も、教材や
プログラムを開発する上で参考になりそうです。

学習者として学習に取り組むときには、次のような「非エッセンシャル思考/エッセンシ
ャル思考」の対比を心にとめておくとよいかもしれません。「どの選択肢も平等に扱う/
決定的に重要なことだけをとる」「どうすれば全部できる?/何に全力を注ぐ?」「声の
大きい意見に反応する/ノイズのなかにシグナルを探す」「やりつづければ、いつか報わ
れるはずだ/今これをやめたら、何に時間とお金を使えるだろう?」「過去と未来に引き
裂かれている/現在に集中している」

すべてがすばらしい教材・プログラムというわけではないのですから、自分自身で何が自
分にとって重要かを選ぶことが大切になると感じました。

わたしに関して言えば、なんとなく考えていたことがこの本を読むことによって形になり
、関わるプロジェクトを減らすことを決意し、そう上司に告げました!

(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士5期修了生 竹岡篤永)


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