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[071-03]【ブックレビュー】GB3輪読シリーズ:第11章「理解を促進する」 (マーシャ・ストーン・ウィスケ、ブライアン・J・ベ イティ)

先日X高専(非常勤)で「中間試験の振り返り」をしてもらいました。担当している科目は中間試験をしないので、任意の試験で行ってもらいました。やり方は、『学生を自己調整学習者に育てる:アクティブラー二ングのその先へ』という本に載っています。
様子を見ながら、何人かに声をかけました。

わたし「どう?間違いのパターン、見つかった?」
数学のテストを振り返っていたある学生「(自分のパターンは)ケアレスミスだ」
わたし「どんなことを間違ったの?」
学生「公式は覚えたけど、使うところを間違えたから」
あれっ? こういう間違い方って、「ケアレスミス」なのでしょうか? 違いますよね・・・

このメルマガの読者ならきっと「この学生は理解が足りなかったから間違えたのだろう」と考えることでしょう。そして次に、どうやったら理解を促す教育ができるの? という疑問(あるいは答え)がわいてくることでしょう。これこそが第11章の核心です。

第11章でいうところの促進すべき「理解」とは、公式を思い出させることでもなく、○○方程式が解けるようになるというような狭~い範囲の目標達成でもなく、適切な公式を検索できるようになることでもなく・・・ と書いてあります。では、なにかと言いますと「学習者が知ったことを社会において柔軟かつ創造的に応用することのできるような理解」なのだそうです。(数学の公式なども使って)橋の強度の計算をするようなことですかねぇ? そのときはもはや、どの公式を使うかなんてことは考えず、考えの焦点は、車が何台どれくらいの頻度で通り、風はどれくらいの強さで吹くから、、、というような現実的な状況にあるでしょう。きっと。

第11章では、こういう理解を促すための教育を行うために必要なことは5つある、と自分たちの研究成果を紹介しています。
1つめは、トピックです。と言っても、トピックって、いざ日本語に言い換えるとなると難しいことばなんですよね。ここでは、学習者が持っている(あるいは持つべき)総合的な力が発揮できるような現実的な取り組み課題、みたいな感じでしょうか。
そして、理解のゴール(到達点がないといけませんからね)、理解のパフォーマンス(習ったことは、それを使ってなんぼ、ですから)、学習進行中の評価(途中経過もちゃんと見ておかないと)と続きます。最後、5つめが、内省的な協同的なコミュニティです。学びは独りで起こるものではないですからね。これらの要素はインターネットなどのテクノロジを使うことによって、さらに促進できるとしています。

と、ざっと書き出してみましたが、この章は(他もそうかもしれませんが)難解です。具体的なイメージについての記述がほとんどないからです(少なくともわたしには難解でした)。ですからこの章は、何か、自分なりの、具体的な実践例を思い浮かべ、それと照らし合わせながら、休み休み読むことをお勧めします。

おっと。それで冒頭の理解不足をケアレスミスと振り返った学生にですが、わたしは「それって、ケアレスミスかなあ?」
とさらに問いかけました。少しでも考えるきっかけになるといいんですけどね。

(熊本大学大学院教授システム学専攻 修士5期修了 竹岡篤永)


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