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[088-03]【ブックレビュー】『超一流になるのは才能か努力か』アンダース・エリクソンほか 文芸春秋(2016)

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【ブックレビュー】『超一流になるのは才能か努力か』アンダース・エリクソンほか 文芸春秋(2016)
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イチロー、マイケル・ジョーダン、ココ・シャネルなどの「天才」を見ると、「かっこいい!あんな風になりたい!」と思うと同時に、「生まれ持った才能の塊なんだろうなぁ」とつい考えてしまう。彼ら彼女らは違う世界に住む住人だと思ってしまう。
それでも、同時に少しでも近づきたいとも思う。
この本は、「超一流の○○になりたい」「世界レベルのエキスパートになりたい」「より効率的に効果的に成長する方法を知りたい」という方にオススメである。
本書では、心理学者アンダース・エリクソンが30年以上にわたる研究で導き出した「超一流」になるための方法を詳細に説明している。

今回のまとめは、以下の疑問を満たしてくれるだろう。
・その分野のエキスパートになるためには何をすればよいのか?
・「目的のある練習」とは?
・「限界的練習(deliberate practice)」とは?

【エッセンシャル版】【長編版】の2種類を用意した。
エッセンシャル版を読み、より詳細を知りたい場合は長編版も読んで欲しい。
エッセンシャル版は約5分、長編版は約20分の読了時間を想定している。

それでは、早速はじめていこう。

【エッセンシャル版】
■その分野のエキスパートになるためには何をすれば良いのか?
エリクソンは述べる。
今までは、色んな潜在能力を決まった量だけ持って生まれてくるのであり、どれを伸ばすか(伸ばさないか)を選択することはできるが、どの「カップ」もへりまでしか満たすことはできない、という事を意味する。
だが今では、能力の規定量などというものは存在しないことがわかっている。脳には適応性があり、絶対音感をはじめとする能力は、予め存在していなかったとしても訓練によって生み出すことができるのだ。
これは従来の常識を覆した。
なぜなら、今や学習は人々が生まれ持った能力をうまく使えるように導くためのものではなく、新たな能力を生み出す手段となったからだ。
では、自らの選んだ分野で能力を高めていくにはどうすればいいのか?特定の活動における技能を向上させるのに最適な方法は何か?うまくいく方法?いかない方法はどんなものか?それはなぜなのか?
正しい訓練を、十分な期間にわたって継続することが向上につながるのだ。
では、「正しい訓練」とは何か?
また、どうすればそれを実践できるか?

自らの分野において世界最高水準に到達した人、技能の頂点を極めた人の能力を理解することを目的とした研究で、傑出したプレーヤーとそれ以外を分ける要素を解明した。
分野を問わず、技能を向上するための最も有効な方法は例外なく、同じ一般原則を満たしている。エリクソンは、この普遍的アプローチを「限界的練習(deliberate practice)」と名付けた。
限界的練習の原則は傑出した技能を持つ人々の研究を通じて発見されたものだが、原則自体は何らかの分野において能力を少しでも向上させたいと思っている人なら誰にでも実践できる。

■「目的のある練習」とは何か?
この程度できれば充分と言う水準で頭打ちになる一般的な練習方法より効果的であり、我々の最終的な目標である限界的練習に一歩近づくものだ。

目的のある練習の4つのポイントがある。
1、目的のある練習にははっきりと定義された具体的目標がある
2、目的のある練習は集中して行う
3、目的のある練習にはフィードバックが不可欠
4、目的のある練習には、コンフォートゾーンから飛び出すことが必要

■「限界的練習」とは何か?
・限界的練習は、すでに他の人々によって正しいやり方が明らかにされ、効果的な訓練方法が確立された技能を伸ばすためのものである。練習のカリキュラムは、エキスパートの能力とその開発方法に通じた教師あるいはコーチが設計し、監督する。

・限界的練習は、常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦し続けることを求める。

・限界的練習には、明確に定義された具体的目標がある。通常は対象とする技能のいくつかの側面を向上させることを目標とし、漫然と技能全体の向上を目指すものではない。

・限界的練習は、意識的に行う。つまり学習者には全神経を集中し、意識的に活動取り組むことが求められる。

・限界的練習には、フィードバックと、そのフィードバックに対応して取り組み方を修正することが必要だ。トレーニングの初期にはフィードバックの大部分は教師やコーチが提供するもので、上達ぶりを評価し、問題を指摘したり、その解決方法を教えたりする。

・限界的練習は、有効な心的イメージを生み出すと同時に、それに影響受ける。技能の向上は心的イメージの改善と密接に関連している。技能が向上するにつれて心的イメージも詳細で有効なものになっていき、それがさらなる技能の向上を可能にする。

・限界的練習では、すでに習得した技能の特定の側面に集中し、それを向上させることでさらなる改善や修正を加えていくことが多い。時間をかけて一歩ずつ改善を積み重ねていくことが、最終的に傑出した技能の獲得につながる。

【長編版】は、以下のURLをご参照ください。
http://idportal.gsis.kumamoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/sites/3/2020/08/id_magazine_bookreview_kamegaya202008.pdf

(熊本大学大学院教授システム学専攻 博士後期課程 亀ヶ谷友佑)


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